病院へ行こう
「あら?喜助さん?」
黒崎医院に勤めている
は、待合室にいる浦原喜助を見て少しビックリした。
は黒崎医院の医院長、黒崎一心の遠縁(正確には妻・真咲の従姉妹にあたるのだが)であり、
縁あってこの病院の看護師をしている。
「どうされましたか?どこか具合でも…?」
「ガラにもなく風邪をひいてしまったようッス…。」
「今朝、熱をはかってきましたか?」
「いえ…すみません。」
「では、こちらの処置室へどうぞ。」
平日のお昼近く、患者は誰もいない。
先程までは数人いたのだが、今日はもう来なさそうな雰囲気の中、
はゆっくりと喜助を処置室へ案内する。
「体温計をワキに入れて、アラーム音がなるまで静かにしててくださいネ。」
「ハイ…」
「顔が紅いですね。熱が高いのかしら…?」
普段の喜助は、熱ぐらいでは病院へ行かない。というより病院自体へ行かない。
自然治癒(ただ寝てるだけ)か、適当に薬を作って飲んでいるので病院とは無縁。
そんな奴が何故病院へ…?それは想い人、
がこの黒崎医院に勤めているから。
1回でいいから、彼女の働いている姿を見てみたい…その思い一心で、今日は病院へ来ている。
浦原商店で熱が出たとき「熱が出たッス〜!!!vvv」と大喜びの喜助を見た
ジン太とウルルは「熱が頭に回ったのでは?」と心配していたのは言うまでもない。
「ピピッ」と体温計の音が鳴り、喜助は体温計を
に渡す。
「…38.4度…!結構高いですね。血圧と脈もはかりますね。」
「あ、ハイ…」
は血圧計を持ってきて、喜助の腕に巻き始めた。
彼女の指が自分の腕に触れるたび、喜助の心が跳ねる。
「血圧は…問題ないですね…でも心拍数が少し高め…かしら?」
「はぁ…そうッスか?」
(心拍数が高いのは、
サンがアタシに触れているからッス…)
熱のせいなのか、嬉しいからなのか、今の喜助にはそれを正確に判断する余裕などなかった。
…と、隣の診察室から、「次の人、ドウゾー!」という声が聞こえる。
「喜助さん、大丈夫ですか?立てますか?」
「は…はい…大丈夫ッス…」
喜助はゆっくりと立ち上がり、隣の診察室へ入っていった。
はそれを確かめると、受付へ移動する。
「なんだ!浦原じゃねーか!」
「ドーモ、一心サン。」
「病院に来るなんて珍しいな。」
「…熱が出ましてネ。」
「……
見たさに来たんだろ?」
「ゲホゲホッ!」
「…図星だな( ̄ー ̄)ニヤリッ」
一心は、
から熱・血圧等々の内容を貰うとまたニヤリと笑う。
「あー、こいつは治らねえナァ…」
「治らない…ッスか?」
「『お医者様でも 草津の湯でも. 恋の病は治らねえ』って言うじゃ…」
「わあーーーーー!!!!!!!(滝汗)」
サンに聞こえてしまうじゃないッスか〜!と喜助は慌てて一心の言葉を遮る。
は受付にいるので聞こえてはいなかった。
「…
、かわいいだろ。」
「言われなくても充分。」
「…本気か?お前。」
「自分でも驚いてるッス。」
「遊びなら…殺すぞ!?」
「なっ!遊びなんかじゃないッスよ!」
一心の言葉に少しムッとするも、自分の不甲斐ない行動に喜助はうつむく。
「遊びじゃないから…真剣だから…それ以上に触れられないんスよ…。」
「…ま、大事にしてやってくれ。アレは俺の妹みたいなもんだから。」
「俺は真咲を救えなかったからな…。それだけは絶対にするなよ」と
一心は、喜助の肩をポンと叩いた。
「黒崎先生、喜助さんの病状はどうですか〜?」
受付での作業が終わり、
が診察室に顔を出す。
「ん?あぁ、ただの『風邪』だな。」
「風邪ッスかぁ〜。」
「馬鹿は風邪をひかねえって言うんだけどな(笑)」
「はぁ、まぁ何とでも言って下サイな…。」
「薬出しとくから、受付で貰っていけ。」
「はいナ…。」
診察室を出て、喜助は受付へ移動する。
受付のカウンターの中では
が薬の準備をしているのが見えた。
「…喜助さん、お待たせしました。」
「スミマセン、
サン。」
「錠剤が2種類、粉薬が1種類、毎食後に飲んでくださいね。」
「ハイ。」
「…あの、喜助さん。」
「何でショウ?」
「もし、良かったら、夜にゴハンでも作りに行きましょうか?」
「は?」
思ってもみない事を言われ、暫く理解できなかった喜助だったが、
嬉しいのと恥ずかしいのが混ざり、
「い…いや…、テ…テッサイがいるから大丈夫ッスよ…。」
「あ!そうでしたね…。すみません、余計なことを言ってしまって。」
「えッ?あッ?と、とんでもない!そういう意味ではないんス!!」
(あ〜!アタシってなんて馬鹿なことを言ってしまったんスかッ!)
ただでさえ具合が悪いのに、更に具合が悪くなったような気がした。
「
サンが来て下さるのは、とっても嬉しいんでスが…、風邪が…うつると困るので…。」
「喜助さん、私は看護師ですヨ。」
ニコッと笑ってそう言う
の笑顔に喜助の心拍数が上昇。
たとえ心拍数が上がっても(具合が悪くても)ここで諦めないのが元十二番隊隊長 浦原喜助。
頭がクラクラする状況の中、何か良い案が浮かばないものかとこの短時間で考える。
「それでは、お茶を飲みに夜寄ってくれませんか?」
「え?」
「アナタが来てくれると、ウルルもジン太もテッサイも喜んでくれますし、
私も皆が揃っているところで休んでた方が、気分的に落ち着きますし…」
「でも、静かな部屋で休んだ方が休まるのではないですか?」
「皆のいる処で、休みたいんス…
サンが迷惑でなければの話ですが…。」
「迷惑だなんて…。」
「それじゃあ決まりッスね〜♪では後で!」
喜助は紅い顔を嬉しそうにして、病院を出た。
その光景を受付の奥から見ていた一心。
「浦原…お前ドップリはまってんじゃねえか…」
そう言って、鼻で笑った。
浦原商店の夕食が終わって30分くらい経った頃、
が手みやげを持ってやってきた。
「こんばんは〜」
「あ、
さん、いらっしゃい♪」
「
!みやげって何持ってきたんだ?」
「ケーキですよ♪」
ウルルとジン太が嬉しそうにケーキの箱を持つと、
「テッサイ!ケーキだぜー!」と奥の台所へ消えていった。
「お邪魔します…。」
「
サン、いらっしゃい♪」
喜助はというと、ちゃぶ台を前に頭には氷のう、毛布を被って壁にもたれ掛かっていた。
「喜助さん!だ、大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫ッスよ〜。」
喋り方もなんかいつも以上にフワフワしてるし、
顔は真っ赤だし、本当に大丈夫なのかと
はかなり心配した。
皆とケーキを食べ、お喋りをしたり、テレビを見たりして過ごした。
「あれ?」
が自分の身体に重みを感じ、隣の喜助を見ると、
膝枕状態で横になっている喜助が。
「喜助さん…ちゃんと布団で休んだ方が…。喜助さん?」
「………」
喜助からの返事はない。完全に眠っているようだ。
「すみませぬ…
殿。」
「いえ、きっと薬が効いているんだと思います。せっかく眠れているんだからこのままで…。」
テッサイは困った顔をして、
に謝ったが、
は喜助が起きないように小声で会話をした。
するとテッサイは「それではお言葉に甘えて…。」と言って
奥の台所へと後片付けをしに行く。
テッサイが部屋を出た後、
は喜助の髪を撫でながら愛しそうに眺めた。
「喜助さん、早く良くなって下さいね。」
紅い顔で眠っている喜助のクチが少し弧を描いた。
FIN :*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*:*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*
夜一「喜助ェ〜、お主、策士よのう。」
喜助「な、何がッスか?」
夜一「風邪とか言いながら、
の太股で膝枕とはのう…( ̄ー ̄)ニヤリッ」
喜助「本当に風邪をひいて熱が高かったんスから!!人聞きの悪いこと言わないで下サイよ!」
夜一「ほほぅ。」
喜助「なーにが『ほほぅ』ッスか。」
夜一「ところで、儂のケーキはあるんじゃろうな?」
喜助「はいナ、今回はちゃんと別にして冷蔵庫に…アレ??」
夜一「『アレ?』とは何じゃ。」
喜助「ここに確かに
サンが『夜一さんに♪』って言ってくれた『プリンアラモード』が!!」
夜一「『ぷりんあらもーど』とな!?」
喜助「でも『無い』ッス…。」
夜一「…で、『ぷりんあらもーど』とはどんな代物なんじゃ?」
喜助「あ、プリンアラモードってそんなに美味しいものではないッス…よ。」
夜一「たわけ!『ぷりんあらもーど』くらい知っておる!第一、
がマズイものなぞ買ってくる訳がなかろう!(--#)」
喜助「え、あ、きっとジン太が食べちゃったようッス…(滝汗)」
夜一「問答無用じゃ!それでは今日は特別に儂の鬼道を食らわせてやろう!」
喜助「ギャーーー!(ジン太〜〜〜〜の奴ゥ〜〜(TДT))」