誕生日プレゼント
















「「 姉ちゃん!!誕生日おめでとう!!」」



黒崎医院の仕事が終わり、ユズちゃんから
「今日は、ウチでゴハン食べてってネ!!」と力強く言われ(笑)
病院の後片付けが終わり、黒崎家のリビングルームヘ向かうと
盛大なクラッカーの音で迎えられた。



「え?誕生日?今日? ?」

「そーだよ!忘れてたの?」



カリンちゃんに言われ、カレンダーを見ると…
あらま、ホントだ!!と思い、ビックリしつつも少し照れた。



「「はーい!私たちからは手作りのブローチ!vvv」」

「わー!!ありがとー!!」

「お兄ちゃんは?」

「…え?あ!俺は…コレだ…。」



なんと一護もプレゼントをくれた(ビックリ)。
一護からは可愛いハンドタオルのセット。



「俺、こーゆーの、よくわかんなくってさ…」

「ありがと!可愛いね。仕事の時に持ち歩くよ。」

「ねー、ユズとカリンのは〜?」

「もちろん!白衣に付けちゃうvv」

「わーいvv」

「真打ちはこの『一心お兄さま』だなv」

「自分で『お兄さま』って…(苦笑)」

「俺からはコレを…。」



小さな包みを貰って開けると、
品の良い可愛い腕時計が入っていた。



「一心兄さん、こんな素敵な腕時計…。」

「わー!お父さん、素敵な時計〜!!」

「滅多にないことだし、いつも頑張ってもらってるからな。」

「ありがとう…兄さん。」

「よかったねー、 姉ちゃん!」

「うん、皆、ありがとね。」



一護は、ずっと黙っていたが、
一緒に嬉しそうな顔をしていた。

皆からのプレゼント攻撃の後、夕食を食べ、ケーキも食べ、
ユズちゃんと後片付けを一緒にして、黒崎家を後にした。








私には家族がいない。
私の家族は、中学の時に事故で皆いなくなった。
その後、従姉妹で一心兄さんの奥さんだった真咲さんの家にお世話になり、
本当の家族のようによくしてくれた。
そして今、今度は黒崎家でお世話になっている。
真咲さんとは血のつながりはあったけど、黒崎家…一心兄さんは、真咲さんの旦那さんであって
血のつながりはない。
そんな私の面倒を見てくれ、仕事の世話もしてくれ、兄さんの子供たちも私を大切にしてくれ、
こんなに幸せでいいのかといつも思ってしまう。
こんな事を兄さんたちに話したら、きっと凄い怒られると思うけど。

そういえば、私の家族も誕生日祝いをしてくれたなあと、
久しぶりに昔のことを思い出してしまった。

私の家族も、黒崎家のように明るくて仲の良い家族だった。
本当に本当に仲の良い家族。
黒崎の人たちが不満だというわけではない、感謝もしているし
私も家族同様に愛している。
でも今日はなんだか、昔のことを思い出しすぎてしまったようだ。




「なんで私だけ残っちゃったんだろ…。」



そう思ったら、なんだか凄く悲しくて淋しくて…泣けてきた。
いい歳のオンナが、何泣きながら歩いてるんだろう…とも思ったけど、
涙がどうしても止まらなくって。
でも今は夜なので、泣いていてもわかりにくいことがせめてもの救いだと思った。











しばらく歩いていくと「浦原商店」の看板が見えてきた。
私のマンションは、この浦原商店からさらに10分位のところにある。
昨日の夜、浦原商店にお邪魔したので今日は行かない日…だったのだが、
お店の前に誰かいる。



サン、今お帰りッスか?」

「あ…喜助さん…。」



自分が今まで泣いてたことを思い出し、慌てて目をこする。
もう夜なので、眼が赤いのは気付かないだろうと、いつものように明るく装う。



「今日は、荷物が多そうッスね。」

「え?あ、今日は黒崎の人たちに祝ってもらっていて…」

「お祝い…スか?」

「はい、誕生日のお祝いを…。」

「… サンの?」

「はい。」

「…今日…スか?」

「恥ずかしながら…。」



「なんということッス!!」と叫ぶと、喜助は頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。



サンの誕生日を知らなかったなんて…一生の不覚!」

「何言ってるんですか〜!大げさですよ。」

「大げさじゃないッス!! サンが生まれた大事な日じゃないッスか!!」

「あはは…(苦笑)」

「…ところで、 サン。」

「 ? はい?」

「なんで泣いてたんスか?」



今までおちゃらけていた喜助の顔が真顔に変わる。
今日もいつものあの帽子をかぶってはいたが、浅くかぶっているために
眼はハッキリと見えた。



「え?泣いてなんか…。」

「眼は真っ赤だし、声は鼻声なんスけどね。」



なんでもお見通しの喜助に、 は照れ隠しのつもりでポツポツと話し始めた。



「…私の家族がいないのはご存じですよね。」

「…ハイ。」

「…今日、黒崎の家で誕生日パーティーをしてくれたら、
 そういえば同じように毎年、家族が誕生日を祝ってくれたなって思って…。」

「………」

「…そうしたら、なんか…今は皆いないんだと思ったら…
 なんで私だけ、今此処に残っているのかなって思っちゃって…。」



やっと、泣きやんだと思ったのに、 はまた涙が出てきた。



「黒崎の家の人たちが不満とか、そういう事ではないし、
 今は私にとって大事な家族だと思ってるんです。
 死んだ家族だってきっと私を今でも護ってくれてると思っているんです…でも」









「ちょっとだけ、やっぱり淋しいかなって思っちゃって…」









眼に涙をいっぱい溜めながらも、「えへへ」と笑おうとする を見て、
喜助は胸が苦しくなる。

彼女は、自分の事よりも相手の事を気づかう。
それでも、何処かで自分の気持ちを吐き出すことができるのであれば、
きっと悲しみや淋しさもほんの少し、薄らぐことがあるだろう。
しかし彼女は、それが出来ない…下手なんだと喜助は思う。

人は強いときもあれば弱いときもある。
喜びの大きさも悲しみの大きさも十人十色。
我慢の限界値も人それぞれである。

我慢強い者は、我慢すればするほど、跳ね返ってくる波も大きい。
そしてその波を乗り越える為に、更に我慢を重ねる。

しかし、何処かで『息抜き』をしないことには、
疲れてしまい、時には壊れてしまうこともあるやもしれない。









「昔を思い出したら眼が潤んでしまいました…。
 いい歳して恥ずかしいですね…。すみません、喜助さ…」「 サン!!」









喜助は、 をギュッと抱きしめた。









「喜助…さん?」

「…アタシは サンの家族ではありません…。でもアタシにとっては大事な友人であり、仲間であり、
 家族…みたいなものだと思ってるッス。」

「………」

サン、アナタは『独り』ではない。黒崎の家も、ジン太・ウルル・テッサイ、もちろん夜一サンも。
 そしてアタシもいます…だから」








「そんなに、独りで我慢しないで下サイ…。」









「我慢…。」

「そうッス。泣きたいときは泣いて下サイ…。
 年に1回位、思いっきり泣くのも良いものッスよ…。」

「 ! 」

「今年の サンへの誕生日プレゼントは、アタシからの『ハグ』デス♪
  サンの涙も何もかも、アタシの鋼鉄のような胸でどんと受け止めるッスよ!」



「ネ♪」と喜助が笑顔で の顔を覗くと、
の眉にだんだんと皺がより、眼から大粒の涙がこぼれ、
喜助の甚平の衿を掴み、額を喜助の胸に付け、
声を押し殺すようにして泣いた。

今はいない家族のことだけではない、悲しかったこと、淋しかったこと、
嬉しかったこと、感情の何もかもが1つに混ざり合い、
自分でもどう表現していいのか分からなかったが、とにかく今はただ泣きたくなって
とにかく泣いた。

喜助はただ黙って彼女の背中をリズム良くトントンと
赤子をあやすように優しく叩いた。






































「…はぁ…」



は泣くだけ泣くと、息を大きく1回吐いた。



「…スッキリしたッスか?」

「…はい…。」

「そいつはヨカッタ♪」

「こんなに泣いたの…いつぶりだったかな…?」



はバッグからハンカチを出して涙を拭いた。



「…喜助さん…ありがとうございます…。」

「いえいえ♪また泣きたくなったら、いくらでも胸をお貸ししまスよ♪」

「…喜助さんが『独りではない』って言ってくれたとき、自分はそんなに孤独を感じてはいなかったんですが、
 すっごく嬉しかったんです。あぁ、独りじゃないんだって思えたんです。」

「………」

「…喜助さん…。」

「 ? 何スか?」



















「私にとって、喜助さんは『家族』って思っても良いですか?」



















喜助は、彼女のクチから発せられた「家族」という二文字に
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、とにかく自分の頬が熱くなる気がした。























「もちろんッス!!」




























は、自分の家へ帰った。
何度も何度も喜助の方を振り返って。

が見えなくなるまで見送っていた喜助の甚平の衿には
彼女の涙の跡がしっかりと残っている。
その衿を大事な物を扱うように、喜助はゆっくりと優しく
手で覆い隠すように握った。












FIN :*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*:*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*






夜一「喜助!お主、やるときはやるではないか!」
喜助「そりゃあそうッスよ!」
夜一「で、今は何処まで進んでおるのじゃ?」
喜助「(゚Д゚)ハァ? 何処までって…。」
夜一「そうじゃ、もういい加減良い仲なんじゃろ?」
喜助「ノーコメントッス!!」
夜一「ほほう…この儂にそのような言いぐさか!?」
喜助「だって、夜一サン、ただ楽しんでるだけじゃないッスか〜。」
夜一「ならぬのか!?」
喜助「その〜、繊細な問題なんスよ〜。」
夜一「ふははははは!!お主のクチから『繊細』という言葉が出るとはの!」
喜助「(´ヘ`;)ハァ…」
夜一「で、どうなんじゃ?」
喜助「……まだでスよ……(ボソリ)」
夜一「なんと!まだ何も進展しとらぬのか!?ったく貴様は何をノンビリしておるのじゃ〜!」
喜助「…………(五月蝿い〜〜〜)_| ̄|○ガクリ)。」