雨宿り
「じゃあ 一心兄さん、私はこれであがりますね。」
「おう!気を付けてな!」
「は〜い。」
診察も終わり、
は黒崎医院を出た。
今日の診察時間は午後4時迄で、病院を出たのが午後5時。
空はまだ明るい。しかし今すぐ雨が降りそうな雲が立ちこめている。
「傘持ってないからなあ。大丈夫かしら〜?」
家までは歩いて20分。
20分位なら、空は持つだろうと思っていた矢先、
まだ歩いて5分も経たないうちに雨が降ってきた。
それも大雨なんてもんじゃない位の。
「キャー!これって『ゲリラ豪雨』ってヤツ!?」
傘を持っていても、あまり役に立たないほどの雨。
とりあえず走るだけ走って、馴染みの「浦原商店」の軒下を借りた。
携帯電話だけはとにかく濡れないように、持っているいろんな物でくるみ、
なんとか保護をする。
あとは…すでにびしょ濡れなので、せめてスカートだけ絞って
服の重さを軽くしようと試みた。
「少し、待ったら止むのかな…駄目そうなら、走って濡れていくしかないわね。」
いつも遊びに行く「浦原商店」の軒下にいながら、
こんなずぶ濡れ状態でお邪魔したら迷惑がかかるので
そのまま静かに小雨になるまで待っていようと思っていた………が、
そこへ幸か不幸か店の扉が開く。
「あ…。」
「
サ〜ン♪何で店の中に入らないんスか?」
はスカートを絞っている状態で、喜助を見ながら固まっている。
喜助は「あらま…」というような顔をして、店の奥にいるウルルを呼んだ。
「ウルル〜!タオル…いや、バスタオルを持ってきて下サーイ!」
びしょ濡れの彼女、服が張りついた身体、水が滴る髪の毛、
喜助は少しだけ顔が紅くなった。
「え?あ!ここまで濡れちゃっているし、このまま家まで走って帰るので…」
「なーに言ってるんスか!風邪でもひいたら大変だ!」
「で、でも、濡れているから家の中を汚してしま…」「さ!早く早く!!」
手を引っ張られ、店の中へ連れ込まれた。
そこへ丁度ウルルがバスタオルを持ってきてくれる。
「ごめんね。ありがとう…ウルルちゃん。」
「…
さん、びしょ濡れです…。」
「そうだ!
サン、このままオフロに入っちゃって下さい。」
「シャワーもありますし」と喜助に言われ、
今度はウルルに手を引かれて浴室へ案内された。
「オフロ…ありがとうございました。」
そう言って、浴室から出てきた
の格好は
喜助と同じ甚平。かなりブカブカのようだ。
「ウチは子供の着替えしかないので、アタシの甚平を着てて下さいネ。
ちゃんと洗ってあるから大丈夫ですよ♪」
「すみません。」
「この甚平、同じ物を数着持ってるんスよ(笑)」
「お気に入りなんですか?」
「まあ、ユニフォームみたいなもんスから♪」
喜助と同じ物を来ているせいか、
恥ずかしくもあり嬉しくもあり、なんだか変な気分の
。
「濡れた衣類は、ウルルに頼んで洗濯と乾燥をしてますから、
それまでゆっくりしてて下さい。」
「何から何まで…ありがとうございます。」
「お安い御用ッス♪」
同じ格好の二人は、衣類が乾くまでの時間を
お喋りしながら過ごしていた。
「…くしゅんっ!」
「ありゃ、風邪ひいちゃいましたかね?」
「いえ、そこまでではないんですけど…ちょっと寒いかも…。」
甚平1枚の
は、フロ上がりの時は良かったが、
だんだん身体が冷えてくるのを感じ、とうとうクシャミまで出てくる始末。
喜助は何か着る物をと居間をキョロキョロと見回し、
突然、思いついたかのように部屋を出ていってしまった。
「 ? 」
「
サン!これを!」
「はい?」
「少しの間、これを羽織ってください。」
それは、喜助が普段来ている羽織。
喜助に背中からかけてもらうと、彼の匂いがする。
「これ、暖かいですね。」
「本当に風邪ひかないでください。」
「はい、ありがとうございます。」
暖かくて、彼の香りがして、まったりとした気分の中で、
は喜助との会話を楽しんだ。
「
さん、服が乾きました…。」
「あ!ありがとう、ウルルちゃん!」
ウルルがそう伝えると、
は立ち上がり、
衣類と共にフロ場の脱衣所へ消えていった。
そして5分くらい経った頃、着替えが終わった
が居間へ戻ってくる。
「喜助さん、本当にありがとうございました。」
「いえいえ♪」
「雨も止んだみたいなので、私はこれで…。」
「
サン、その紙袋はなんスか?」
ここに来たときには持っていない荷物が増えていることに
喜助は疑問を抱く。
「あ、これは先程お借りしていた甚平と羽織です。
クリーニングに出して、後日お返しにあがります。」
「な、なーに言ってるんスか!」
喜助が紙袋を取り上げようとすると、
も負けじと紙袋を離さない。
…と思わず眼が合ってしまい、喜助がフッと笑った。
「それではこうしまショ。
甚平は…すみませんが洗濯をお願いします。でもクリーニングに出さないで
普通に洗濯して貰えれば充分ッス。
羽織は、アタシが着ていたものなので、そのまま置いていって下さい。今から着ますんで。」
「それでは、借りたままで失礼じゃ…」
「だから、甚平をお願いしてるんスよ♪」
自分が着ていたものを洗濯して貰うほうがよっぱど失礼じゃないッスか?と
紙袋の中の羽織だけを喜助は取り出しながら言った。
「それでは…喜助さん。」
「ハイハイ〜♪」
「今度は、ウルルちゃんの好きな物をお土産にお邪魔させていただきますね。」
「それはウルルも大喜びッス!」
「…では…。」
喜助と
は店の外で別れた。
の姿が見えなくなると、喜助は先程紙袋から取りだした羽織を羽織る。
すると、嗅ぎ慣れたいつもの石鹸の香りに彼女の残り香がして、
彼女に後ろから抱きしめられているような感覚にとらわれた。
「…
サン…。」
アナタもアタシが思ったように、
この羽織を羽織ったとき、自分を感じてくれたんスかね…?
そんなことを思いながら、
喜助は店の奥へと消えていった。
FIN :*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*:*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*
夜一「『臭いフェチ』か?お主は?」
喜助「に、臭いフェチって、そんな言い方…_| ̄|○ガクリ」
夜一「なーんかイヤラシイのう…。」
喜助「何でッスか!?(--#)」
夜一「しかし、いつものお主なら、もっとエロ全開ではないか?」
喜助「エロ全開って…(´ヘ`;)ハァ」
夜一「
が好きなら、何故猛アタックせんのじゃ?」
喜助「…そこをつかれると弱いッス…。」
夜一「隊長だったころはウハウハにモテてたのではないのか?」
喜助「夜一サン、『ウハウハ』って何処で覚えたんスか?」
夜一「『ウハウハ』じゃなかったら『ブイブイ』かの?」
喜助「『ブイブイ』って…いつの言葉なんスか…って
そんなにアタシはモテませんでしたし、特定の人もいなかったじゃないッスか〜。」
夜一「…そうだったかのう?」
喜助「そうですよ!!あ!
サンに変なこと吹き込まないでくださいよ!!」
夜一「( ̄ー ̄)ニヤリッ」
喜助「いや、ホント、お願いしまス!!!!!!(滝汗)」