悪夢の傍らで
アタシの目の前には、平子…サンが倒れていて…。
ひよ里サンが倒れていて…。
そして…藍染サン…。
(あぁ、これは夢ッスね…。)
100年以上も前の出来事。
これは決して忘れることは出来ない。
(この後、藍染サンには逃げられ、平子サン達は助けられなくて…。
アタシは拘束され、そして夜一サンに助けられ…。)
何度も何度も見るあの時の悪夢。
いくら藍染サンが封印され、拘束されたとしても
アタシがしなくてはならないことはまだ残っている。
しかし、倒れている平子サン達…以外にもう一人、そこにいるはずのない者が倒れていた。
「
……サン!?」
まさかと思ったが、アタシが
サンを見間違うはずがない。
そばへ寄り、うつ伏せで倒れているその者に触れようとした…が、
アタシの全身を巡る血液が一瞬にして沸騰するような感覚にとらわれた。
今、自分の前にいるのは…一体誰なんスか?
気配を感じ、後ろを振り向くと、そこには藍染サン。
「こ…この人は…?」
「君が一番愛しいと思っている者…と言えば良いかな。」
「 ! 」
息が止まるような気がした。
それでも、なんとかうつ伏せになっている者に手をかけ、
恐る恐る仰向けにした。
「
サン!!!」
「どうして
サンが!!!」
サンの顔は真っ白で精気は全く感じられない。
声を掛けても身体をゆすっても反応はなかった。
しばらくすると平子サンをはじめ、倒れている者の顔が
虚の仮面…の様なものに覆われていく。
それは
サンにも同じだった。
「
サン!
サン!眼を!眼を開けてください!!」
彼女は何も反応してくれず、顔がどんどん仮面に覆われていく。
「こ、こんな仮面なんか!」
仮面に手をかけ、彼女からはずそうとしたとき、
アタシの手を
サンが掴んだ。
「
サンッ!気が付いたんスねッ!」
「喜…助……さん…。」
「今、こんな仮面はずしますから、頑張ってください!」
「喜助さ…ん………もう……いいから…。」
「…え!?」
サンは、クビを小さく横に振ると、
アタシの頬を触ってきました。
「ごめん…ね………喜助…さん…。」
「
………サ……。」
……サ…ン…?
…サン…。
サン。
サン。
サン。
サン。
サン。
サン-----------------------!!!!!
変わり果てた
サンを抱きしめて、ボクは気が狂いそうになる。
そうだ…早くボクの研究室へ連れて行って
平子サン達と同じように霊圧遮断型義骸を作って
そして現世へ逃げないと…!
早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!
気が付くと、ボクは何処に向かって走っているのかわからなくなっていた。
瞬歩を使って、
サンを運んでいた…はずなのに、
彼女がこの腕の中にいない。
(
サン!何処ッスか!?)
あたりを見回すと、見たことのない土地で
ボクは闇雲に彼女を…
サンを探す。
(
サンが!早くしないと
サンが!!)
すると、何処からかボクを呼ぶ声。
マズイ!隊士達が追いかけてきたか。
しかし、今捕まるわけにはいかないんス。
早く
サンを探さないと!
しかしボクを呼ぶ声がどんどん近づいてきた。
そして背後をとられる。
(誰だ!?)
「喜助さん!!」
「……!?」
目の前にはボクを覗き込む…
サン。
「
…サン…?」
「喜助さん、うなされてたよ。大丈夫?」
「……え…?」
「ほら、こんなに汗かいて…嫌な夢でも……うわっ!」
ボクは思わず目の前にいる
サンを引き寄せ抱きしめた。
「喜助さん!どうしたの!?震えてるけど、具合でも悪い…の?」
「…………
……サン………。」
「ん?」
「…ヨカッタ………。」
「……嫌な夢でも…見た?」
「…ボクは……?」
サンは、小さく微笑むと、自分のパジャマの袖口を引っ張って
ボクの顔の汗を拭ってくれた。
「昔の夢でも見たの?」
「昔の…夢…。」
「…自分のこと、『ボク』って言ってるから…。」
「…えっ…。」
サン、アタシの過去のこと知らないのに
そんな小さな一言で、アタシの見た夢が昔の夢だったことをわかってしまうんスね…。
でも内容までは彼女はわからないし、アタシはアナタに話していない。
「…そおッスね…昔の事と
サンが一緒になってしまったような夢…というんですかね…。」
「…ねえ、喜助さん。」
「…ハイ。」
「私はここにいるから大丈夫。」
「
サン…。」
サンをまた強く抱きしめて、首元に顔をうめた。
彼女は「くすぐったいよ」と言いながら、アタシの背中をさすってくれる。
「喜助さん、大丈夫?まだドキドキ言ってる。」
「もう…大丈夫ッスよ。」
「…ヨカッタ。」
「…
サンは怖い夢って見るんスか?」
「う〜ん…今まではよく見てたかもしれない…。家族の夢とかね。
事故の時の夢は怖くて嫌な夢だし、家族が出てくる夢は、目が覚めたあと、ちょっと淋しくなっちゃうし。」
サンの家族は、彼女が中学生の時に事故で亡くなっている。
今では親戚である一心サンが親代わりにはなっているものの
やはり本当の家族の夢はよく見ていたらしい。
「…そうッスか…。」「でもね」
「 ? 」
「最近は見なくなったのね。」
「…何でッスかね?」
「きっと喜助さんと付き合うようになったから。」
「…アタシ…ッスか?」
「そう。喜助さんが私を想ってくれてるから。」
サンは恥ずかしそうに微笑んだ。
「…家族には申し訳ないかもしれないけど、きっと喜助さんが私の淋しさを吹き飛ばしてくれてるから見ないんだと思う。」
「淋しさを…吹き飛ばす?」
「うん。でも私には喜助さんの嫌な夢を吹き飛ばすチカラはないけどね。」
「…そんなことないッスよ。」
「え?」
「さっきだって、アタシを悪夢から現実へ引き戻してくれた。」
「それは…偶然、喜助さんが夢から覚めたときに、私が声を掛けたからだと…。」
「…夢の中で、アナタの声が聞こえたんス…だからアタシは夢から覚めたんスよ…。」
「私の声で?」
「はい…。そして、アタシをこの現世へ…アナタのいるこの世界へ引き戻してくれる…。
だから、アタシはアナタが…
サンがいないと現実へ戻って来られない。」
「喜助…さん…。」
「…さぁ、寝ましょうかね…。寝不足になったら困りますから…。」
「そうだね」と言って、
サンはアタシの腕を枕に再び眼を閉じた。
そんなアナタはアタシのお陰で過去の悲しい夢を見なくなったと言う。
でもそれはアタシが何かをしたからではない。
それは
サン、アナタが強くなったから。アナタの心が成長したからだ。
そして、アナタは自分の想いが足りないから、アタシが悪夢を見ると言う。
でもあれは悪夢ではない。悪夢という名のアタシへの戒め。
そして、いるはずのない
サンがあの夢の中に出てくるのは、
未来にあるかもしれないであろう、最悪の出来事への警鐘…なんだろうか?
しかし、その悪夢が酷ければ酷いほど、辛ければ辛いほど
サンが強くはっきりとアタシを現実へ連れ戻してくれる。
「
サン…。」
「…………。」
「何か夢を見てるんスかね…?」
柔らかく彼女を抱きしめ、彼女の呼吸のリズムを確認する。
悪夢を見続けるアタシの傍らで、アナタは幸せな夢を見続けるといいと思う。
そして、たまにでいいですから、アタシを現実へと引っ張って下サイ。
こんなアタシを生涯、必要としてくれますか…?
サン…。
まるで、アタシに返事をしてくれたかのように、
サンの腕がアタシの背中にまわる。
あまりのタイミングの良さに少々驚いたが、それがとても嬉しくて強めに抱きしめ返してしまった。
「…んぁ?喜助…さん?」
「………すぅ…。」
スミマセン…
サン…。
どういう顔をして良いのかわからなかったので、狸寝入りしてしまいました……。
どうか、彼女の目覚めが未来永劫、良きものでありますように-------------------。
FIN :*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*:*:・。,☆゚'・:*:・。・:*:・゚'☆,。・:*
夜一「お主、まだあの時の夢を見るのか?」
喜助「ま、まあ…(^^ゞ」
夜一「もう…昔のことだと思うことはできぬのか?」
喜助「…それはムリッス。アタシのせいで平子サンたちがああなってしまったんスから…。」
夜一「…他に…何か楽しい夢を見ることはないのかのう。」
喜助「そりゃあありますよぉ♪♪」
夜一「…
の夢じゃろ!?」
喜助「当たり前じゃないッスか!(どや顔)」
夜一「わかったわかった。で、二人で『でえと』とかの夢なのか?」
喜助「違いますよん♪二人でお風呂に入る夢ッスvvv」
夜一「……ほほぅ…。」
喜助「なーにが『ほほぅ』ッスかぁ〜?」
夜一「喜助、お主、
と風呂に入ったことがないんじゃろ?」
喜助(どっき〜んっ!)←図星
夜一「だから夢にまで見るんじゃろ!」
喜助「……だって…混浴…したいッスもん…。」
夜一「一緒に入ればいいではないか!」
喜助「(゚Д゚)ハァ?」
夜一「儂から聞いてやろう。おーい!
ーーー!」
喜助「うわああああ!や、止めてくださいッッッ!!!」
「はぁい、夜一さん。なんですか?」
喜助「うわぁ…
…サン…(°°;))。。オロオロッ。。・・((;°°)」
夜一「一緒に風呂…」
喜助「うわああ!!!夜一サン!!今日は猫会議があるんじゃないッスかぁ!?(滝汗)」
「??? 喜助さん?」
喜助「…………((*゚д゚*))ドキドキ♪」
夜一「一緒に風呂へ入らぬか?」
喜助「ぎゃーーー!!!」
「はい?誰とですか?」
夜一「儂とじゃよ♪のう、喜助♪」
喜助「(゜◇゜)ガーン」
「はい!喜んで♪一緒に入りましょう♪♪」
喜助「…
サァン…ρ(-ε- )イジイジ」