遠くに見える小さな人影…
(ああ。)
それでもアタシにはわかっちゃうんすよ…
さりげなくアタシは店の中に戻り普段はしない商品の整理なんかを始める。
「こんにちは、喜助さん。」
「ありゃ、
さん。こんにちは、今日は…どうしました?」
それだってホントはわかってるんすけどね。
「ほら、昨日テッサイさんと話してたじゃないですか。今日はテッサイさんいないって。だから…」
アナタはニッコリ笑って買い物袋に入った今日の夕食の材料を軽く掲げる。
「…盗み聞きっすかあ?いやらしい人っすねえ…。」
それだってホントはアナタにわざと聞かせたんすけどね。
「あら…じゃ、帰ります。」
「やだなあ、冗談すよ。本気で帰ろうとしないでくだいよ。」
慌てて先回りして帰ろうとするアナタを引き止めたらアナタ少し首をかしげて笑ってくれちゃって…
(止めて欲しいっすね、そういう顔。今日は他に誰もいないんすよ?)
「ま、どーぞ…。」
帽子を深めにかぶり直すのは…やはり本心を隠したい男心なんすかね?
「何を作ってくれちゃうんすか?」
台所で材料を並べる
さんを少し離れたところに椅子を置いて眺めた。
「えっと、青梗菜の煮びたしと、即席のお漬物、味噌汁と…じゃ〜ん!」
「秋刀魚っすか?」
「今が旬の尾頭付き秋刀魚、豪華大根おろし付です!」
「豪華っすか?」
「…御不満ですか?」
少しシュンとなったアナタを見るのはとっても楽しい。
…というか、もう…キケン。
「お手伝いは?」
「アタシは見る人っす。」
「はあ…。」
実のところ、料理するアナタを後ろから見てるのが何とも嬉しい。
それにね、こんな状態でアナタの横に行くのはトッテモ危険なんすよ。
大根を手ごろな大きさに切り器用に皮を剥くと
「はい、喜助さんお願いします。」
「なんすか?」
「大根おろし。働かざるもの食うべからずです。」
「…わかりましたよ。」
なんだかんだと結局お手伝いさせられちゃうんすよね、いつも。
(イヤじゃないんすけど、ホントは。)
並んで横で大根をシャカシャカおろす。
鍋で煮びたしを作るあなたの顔をチラリと覗くと…
ほんの少し、言ってみたくなる。
「
さん。」
「なんですか?」
「ホントは…わざとアナタに聞かせたって言ったらどうします?」
「何を?」
「テッサイがいなくて夕食どうしようって話っす。」
大根をシャカシャカ、鍋がクツクツ。
そんな時間を長く感じてしまったっていうのは緊張してたんすかね、アタシ。
「知ってますよ?」
「!」
何ともなさ気に普通に答えられると…
(女性には…かなわないっす。)
苦笑するしか出来ません。
漬け物と煮びたし、味噌汁とご飯、それに焼き立ての新秋刀魚。
「旨いっすねえ。」
「そうですね。」
「漬け物、醤油かけていいっすか?」
「かけすぎなければ。」
何気ない会話に何気ない普通のご飯。
「なんでこんなに旨いんすかねえ?」
「テッサイさんのご飯だっておいしいですよ?」
「そりゃそうなんすけどね…」
ここにはテッサイの作る食事とは何か違いがあるはずだ…
テッサイの食事は旨い。
ただ、
さんの作る食事には同じ旨さに何かもう一つ何かある。
(何でしょうねえ…)
「早く食べちゃってください、そうしたら片付けて帰りますから。」
「えっ、帰っちゃうんすか?」
自分で言ったそんな一言…
食事の旨いわけがわかりました。
「ああ、
さんと食べてるから旨いんすね。」
「はい?」
そりゃもう、惚れた人と食べる食事ほど旨いものなんてあるはずないっすね。
「旨いっす。」
「おいしいですね。」
そんな事を言いながら食べる食事は…やっぱり旨いわけで…
「
さん。」
「はい?」
いつもひねたものの言い方しかできないアタシなんすけど…
「今度ご飯食べに行ってもいいっすか?」
たまには真っ直ぐいってみようかと。
少し驚いたアナタの顔。
味噌汁持って箸を咥えながら答えを待つアタシは緊張と焦りできっともっとおかしな顔をしてるのかもしれない。
なのに…
「いいですよ。」
これまた普通に答えてくる。
(ああ、そうっすね…かなわないのは女性…じゃなくって)
「アナタにはかないません、まったく。」
「峠の茶屋」の風様よりまた頂戴してしまった喜助話デスvvv
風様曰わく「かなりひねひねの浦原氏」ということなんですが、
これが私の思う基本の浦原喜助です!(きっぱり)
いつもお世話になっている「峠の茶屋」様が20000打を超えられ、
強制的に画を送りつけたにもかかわらず、
こんな素敵な話をくださったんです! ヾ(´▽`;)ゝエヘヘ
海老で鯛です♪いつもスミマセン。
別にエロがなくてもチューがなくても
十分にエロいですから!浦原氏(笑)
しかも和食、超似合ってるしvv(←超とか言うな(笑))
いつもいつも素敵な話をありがとうございまする〜!
これからも末永く宜しくお願い致します〜m(__)m