「I alone did not know」





















学院生になってしばらくすると、私は特別クラスに入ることが出来た。
ただでさえ、女子学生は少ない。
まあ、勉強して早く護挺に入れるように日々精進すればいいのだと、
きっと特別クラスの連中はそんな輩ばっかりなのだろうと思っていた矢先、









ちゃんって、女子学生でトップの成績なんだってねえ」









と声をかけられた。
今まで私のことを「 ちゃん」だなんて呼ぶ学生はいなかった。
もちろん先生でもいるわけがない。
たいていは「 さん」「 君」「 」、よほど仲の良い同性に「 」と
呼び捨てされるぐらいである。

呼ばれた方へ振り向くと、軽く波打った髪と無精ひげ、そしてやたらと背の高い男がニコニコとコッチを見ている。









「えっと…貴方は…?」
「ボクは『京楽春水』。キミは『 』ちゃんでしょv」









京楽春水…?京楽…と言えば、たしか学院1、2の成績だったような気がする…。









「学年トップの京楽…さん?」
「ん〜、正確に言うとボクはトップじゃないんだけどね。ま、そんなことはいいんだけど、 ちゃんとお近づきになりたいと思ってさ」









春水はそう言いながら、 に握手を求めた。
は少々圧倒されるも、右手を出して『こ、こちらこそ宜しくお願いします…』と挨拶をした。





























やたらと明るい…というか、楽しそうな人だと思った。
でも『軽い』とか『軽薄』だとか、悪い印象はなかったのを覚えている。





























そしてこの握手から春水の親友である『浮竹十四郎』を含め急速に仲良くなった。
十四郎は名実とも学院一の成績であり、人望厚く、常に皆の中心にいた。
春水はというと、いつも女の子を追いかけ回して…(笑)
でも本当の彼は、思慮深くとても繊細な人だと私は思う。































































































 
、どうした?悩みでもあるのか?」









十四郎が心配そうに聞いた。









ちゃん、悩みがあるならチカラになるよ」
「ん?悩んでるワケじゃないよ。この特別クラスに入ったばかりの頃を思い出してただけ」
「あー、ボクが ちゃんに初めて話しかけた頃?」
「そうそう(笑)」
「春水は女の子って言うと、見境無いからなあ(苦笑)」
「浮竹ェ〜、人聞きの悪いコト言うなよ〜」
「大抵の女の子は逃げ出すんだよな(笑)春水が猛攻撃だから怖がってさ(笑)」
「私は怖くなかったよ…楽しそうな人だなって思った。逆になんで春水と十四郎が私と仲良くしてくれるのかなって思ったけど」
「ボク達と仲良くするの、イヤかい?」
「そんなこと、思うワケないじゃない!ただイキナリ私の所に来て『宜しくv』って握手を求めてきたから…」









は、二人に失礼なことを言ってしまったのではないかと困惑した。
それを見た十四郎はニコッと笑いながら話し出す。









「俺達が と仲良くしたかった…それが始まりさ…」
「それだけ ちゃんが魅力的なんだよ」
「魅力的かどうかはわからないけど(苦笑)私は二人と仲良くなれて嬉しいし、これからもずっと仲良くして欲しいと思う」
「そりゃあモチロンだよ」
「あぁ、護挺に入ってからもずっとな」
































































私たち三人の「繋がり」はココから始まっている。



















































































そして
春水は八番隊隊長
十四郎は十三番隊隊長
は四番隊特別救護班班長として
現在に至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今日は珍しく三人で酒を飲んでいた。









「三人で集まるなんて、久しぶりだな」
「そうね」
「ボクはいつでも大丈夫なんだけど、浮竹の調子がさ〜」
「春水〜、そーゆー事言わないの!」
「いや、でも…いつも心配かけて申し訳ない」
「そーねー、これで十四郎がちゃんと薬をのんでくれれば…ね」
ちゃんのほうが、言ってることキツクない?」
「そかな?」
「卯ノ花よりは厳しくないから大丈夫だぞ(笑)」









三人の酒は、いつも話が絶えない。
時間はあっという間に過ぎていった。









、覚えてるか?俺達が初めて喋った時のこと」
「もちろん!覚えているわよ。突然春水が握手を求めてきた時でしょ?」
「懐かしいねェ〜。あの時のボクはなんて初々しかったんだろ♪」
「よく が気持ち悪がらなかったな(笑)」
「そうね、今考えるとね(笑)」
…ちゃん…(泪)」
「ウソウソ(笑)
 でもあの時、春水の顔が少し紅かった気がしたんだよね…気のせいだったかなあ?」









春水と十四郎が一緒に『えっ!?』という顔をした。
そして何を思ったのか十四郎が急に立ち上がった。









「そういえば、明日までに目を通さないとまずい書類が少しあったんだ!」
「えっ?何!?急に!?」
「悪いが、先に帰らせてもらうぞ!二人はもう少しゆっくりしてるといい」
「十四郎!」









十四郎は帰り支度をして店を出ようとした…が、
の方へくるりと身体を向けると







































!春水の… の第一印象を教えてやるよ!」
「うっ、浮竹!!イキナリ何を言い出…!!」









は、何やら騒いでいる春水のクチをおさえ、『教えてッ!』というような
目をキラキラさせている。









の第一印象は『一目惚れ』だよ!」
「え!?」
「あの時、春水が出来る精一杯のことは『 に声を掛けて友人になる』ことだったのさ」
「浮竹ッ!!」
「………」
「春水はね、本命には手が出せないヤツなんだよ。だからあの時顔が紅かったのさ(笑)」









言いたいことを全て話し、『春水にはいつもイジメられてるからな(笑)』と笑いながら
十四郎は店を後にした。









残ったのは、顔を紅くした春水とまだ彼のクチをおさえていた
気が付いて慌ててクチから手をどけた。









「あ、ごめん…」
「…参ったねぇ……」
「さっきの話、ホントのこと?」
「……本当だよ…」
「……知らなかった…。そうだったんだ…」
「…でもね、過去形じゃないんだ…」
「え…?」
「あの時からずっと… 「ま、まって!!」」









は春水の話を止めた。









「私ね、学院時代に気になる人ができてね。
 でもその人の事、あまりよく知らなくて、十四郎に相談していたのね」









なぜ昔の話をしだすのだろう…と春水は思ったが
そのまま黙って話を聞いた。









「相談…というよりは『どんな人なの?』って聞いてた。
 よく聞くものだから十四郎に『本人に聞けば?』って言われてね(笑)」
「で、本人に聞いたの?」
「そんなこと恥ずかしくて聞けるワケないじゃない(笑)
 結局、そのまま自分の感情を隠して過ごしていったのね」
「その後、ソイツとはどうなったんだい?」
「ん?その人はとっても優しくしてくれるし、楽しい人だよ」
「じゃあ、念願成就で良かったじゃない」
「でも〜、お付き合いしていないのよ(笑)仲は良いけどね」
「そんなに仲が良いなら…何故付き合わないの?」
「だって、私は彼に自分の気持ちを伝えていないし、彼の気持ちも知らないもの」









押し問答のような会話をしているうちに、
春水の頭は少々混乱した。
自分の想い人が他の男の話を嬉しそうにするのは楽しいことではない。
どこのどいつなのだろうと思った…が、
浮竹も人が悪い。ボクの気持ちを知っているクセに
なんで話してくれなかったのだろうとも思った。









「ところで、 ちゃん」
「なに?」
「なんで浮竹に相談したの?」















































「彼の親友が『十四郎』だからよ」















































ちゃんの好きな奴の親友が浮竹………………………………………………。




















…………………………………………………………………………………………??





















………………………………………………………………!!!!!!!!!!



















「そ、それって…」
「その人ってね、女好きらしいんだけどね。
 本命には弱くて、手が出せないそうなのよ(笑)」
「!!!」
「でもね、その人ってとても繊細で、思慮深い人なの」





































































うーん、参った!!





































































…ということは、ボクと ちゃんは、お互いの気持ちを知らないまま
今日まで親友として過ごしていて…









全てを知っていたのは浮竹だけだったとは!!
くっそー!なんかクヤシイ…!!














































ブツブツと十四郎に対し、悔しさを露わにしていたが、
彼女の顔を見ると、頬を紅くして満面の笑み。
そんな顔を見たら、浮竹に一杯食わされたこともすべて帳消しになっちゃうなあ…と
苦笑しつつ の手を両手で包んだ。


















「ボクの『長き恋』はやっと成就したのか〜」
「私もね…。でも…」
「でも…なんだい?」
「春水も私も、さっき相手の気持ちを知ったのに、十四郎はずっと知っていたんでしょ?
 もっと早く教えてくれたら良かったのにね(苦笑)」



















そう!ボクが言いたいのは其処の部分だ!!
アイツ〜!イイ性格してるネェ…(--#)









今度会ったら反撃しないと〜!



























































その頃、『仕事がある』と偽って
雨乾堂へ向かっている十四郎…。









「次に春水に会うのがなんだかコワイ気がするなあ…
 しかし、廻りの連中がほとんど知っていたのに、アイツ等は一体何年経てば気付くんだ…ったく!」





























感謝ぐらいして欲しいものだと
コチラもひとりブツブツ言いながら足早に去っていった。

































 END


























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