「birthday2005(ukitake ver.)」
「最近、調子が良いみたいだね。」
が嬉しそうに言う。
「
のお陰だな。」
「違うよ。十四郎がちゃんと薬を飲んで、安静にしてたから。」
「そうか?(笑)」
そうよ!と言わんばかりの顔をして、今日の分の薬を渡した。
「調子がいいから、飲まなくてもいいか?」
「今何か仰いましたか?」
「…いや、なんでもない(汗)」
こんなやりとりも日常茶飯事。
しかし、このやりとりがとても好きだったりする。
四番隊救護班の任務とはいえ、自分の好きな人がこうして毎日自分の処へ来てくれるというのは、
本当に嬉しいことだと思う。
不謹慎だとは思うが、この時ばかりは病気さまさまだな…。
「なにニコニコしてるの〜?」
「ん?なんでもない。」
「変な人!(笑)」
笑ったかと思った
の顔から急に笑顔が消える。
何か困った様子だ。
「どうした?」
「あ…あのね、明日なんだけど、任務で現世へ行かなくてはならないの。」
「そうか…。気をつけてな…。」
「………」
「
?」
「明日中には必ず雨乾堂に顔を出すから…。だから絶対に待ってて!」
「…?… 待つと行っても俺はココにしかいないからな(笑)」
「本当にゴメン!」
どうしたんだ?……
のヤツ…。
そんなに焦らなくても、明後日来ればいいものを。
そりゃあ、毎日会ってくれるのは嬉しいが、急いで何かあったら…。
「とにかく…明日は起きて待ってて欲しいの…。病人に言うことではないけど…。」
「
が待てと言ったらずっと待つさ(笑)でもムリに明日来なくても明後日に…」
「明日!明日じゃないとダメ!」
それじゃあ…と、申し訳なさそうに
は雨乾堂を後にした。
一体何をそんなに焦っているんだ…?
考えても思い当たるふしがない。
夜も更け、十四郎は眠ることにした。
*
いつものよう目が覚める。
朝の儀式の如く、仙太郎と清音がバタバタとお茶を持ってやってくる…はずが、
「「隊長、お目覚めでしょうか?」」
「? あぁ、起きてる。」
失礼します…と普通に入ってきた。
なんだ?これはこれで気味が悪い。
「どうした?いつもの威勢がないじゃないか。」
「「隊長!!誕生日おめでとうございますっ!!」」
誕生日〜?今日かっ!?
それからの仙太郎と清音は、自分が先にプレゼントを渡すのだと
いつもの五月蠅さに戻った。
「プレゼントをくれるのは嬉しいが、もう少し静かに渡してはくれないか?」
「「あっ!申し訳ありません!!」」
「先でも後でも心がこもっていれば同じだぞ(笑)」
「「それなら自分の方が心がこもっているでありますっ!」」
…… 変なことを言わなきゃよかった…。
「プレゼント、ありがとうな。」
「「失礼致しましたっ!」」
朝っぱらから元気の良すぎる二人を下げさせ、二人から貰ったプレゼントの中身を見る。
仙太郎からは…カイロ。そして清音からはマフラー。
二人とも気を使ってくれてるんだな…。
本当に可愛い部下をもって幸せだと思った。
そして…
「だから
が焦っていたのか…。」
やっと理由がわかった。
でも今日は現世への任務。焦って怪我でもしなきゃいいが…。
十四郎はそれだけが心配だった。
「まあ、
らしいと言えばらしいが…」
とにかく、今日の楽しみが出来たというワケだ!
ということで、俺は夜が待ち遠しかった。
夜もだいぶ更け、今日という日が、あと30分ほどとなった。
ここまでくると、「来る来ない」の問題ではない。
「
…。」
とにかく心配だった。
自分の誕生日なんてどうでもよくて、ただ無事であることだけを祈る。
……と、馴染みの霊圧が近づいてくる。
「
かっ!?」
しかし返事がない。十四郎は急いで雨乾堂の扉を開けようとした。
「待って、十四郎!」
その声は、十四郎が待ちに待った者の声。
「
、無事だったのか!早く中に入れよ。」
「え、あ…その… ここでいいよ…」
「何を言ってんだ。そんなところに居ては風邪をひくぞ!」
扉に手を掛けた時、
が「開けないで」と小さく叫ぶ。
そこまで言われると、十四郎も開けにくい。
「…わかった…。でも何故だ?」
「今日の任務で、かなり汚れちゃったのね…。でも着替える時間が無くて…」
「怪我したのか!?」
「怪我はしてないよ。大丈夫。けが人は多かったけどね(苦笑)」
怪我をしていないと聞いて、十四郎は安堵した。
「汚れているなんて、そんなの構わないさ。だから…」
「もう1つ…理由があるの。」
今度は何だと思いながらも、黙って
の言葉を待つ。
ほどなくしての
の第一声。
「十四郎、誕生日おめでとう。」
からの祝いの言葉。
更に言葉は続く。
「本当は、今日の任務はもっと早く終わる予定だったの。だから帰りがけにでも、十四郎へのプレゼントを
買おうと思ってたんだ…。もっと早く買いたかったんだけど、忙しくてなかなか買う暇がなくて…。
で、結局こんな時間になってしまって、買うことができなかったのね…。」
「プレゼントなんてイラナイぞ!
からの祝いの言葉が聞けただけで充分だよ。」
「そんなのダメ!」
相変わらずガンコだなあ…(笑)
「だから…せめて…せめて言葉だけでもお祝いを言いたくて…。
『おめでとう』だけじゃなくてね、もっと沢山言いたい事があるから…。
でも面と向かって言うのは恥ずかしいから…この状態で聞いて欲しいの。」
寒くないように、何か着てから聞いてクダサイ!と言われ、
「大丈夫だよ。ちゃんと着ているから。」
と言った。
「じゃあ…」
「いつも優しくしてくれてありがとう。」
「いつも構ってくれてありがとう。」
「学院生の時に友達になってくれてありがとう。」
「護廷に入った後でも、ずっと友達でいてくれてありがとう。」
ひとつひとつの事柄に『ありがとう』をつけているだけの単純な言葉。
しかし、扉1枚で相手の表情が見えない分、そんな短い言葉でも十四郎の心に染み入る。
さらに言葉は続く。
「いつも励ましてくれてありがとう。」
「いつも心配してくれてありがとう…。あ、これは心配ばかりかけてごめんなさい…だね。」
「私が作ったマズイ薬を毎日飲んでくれてありがとう。」
「毎日毎日、病気と闘ってくれてありがとう。」
「いつも笑顔でいてくれてありがとう。」
「そして…生まれてきてくれてありがとう。」
「
ッ!」
十四郎は名前を叫ぶと雨乾堂の扉を勢いよく開け、
顔を真っ赤にして自分の気持ちを言い終わった
を思いっきり抱きしめた。
「じゅっ、十四郎?」
「ありがとう…
。」
十四郎の声が少しヘンだ。
「十四郎…泣いてるの?」
「泣いてなんかいないぞ…泣いてなんか…。」
それ以上は言葉を発しなかった……。発することができなかった。
自分が一番大事に想う人に『生まれてきてくれてありがとう』と言われることほど嬉しいことはない。
しかも自分は病気持ちで、いつ死ぬかわからない運命。
今でこそ隊長として、一族の生活を支えられる身分となったものの、厄介者であるのは確かなはずだ。
そんな自分を祝福してくれるなんて…。生まれてきたことを感謝してくれるなんて…。
「十四郎…?」
「誕生日だから…もう少し…このままでいてもいいか…?。」
「本当に任務帰りのままだから…十四郎まで汚れちゃうよ…」
「構わないさ…。」
「 ……うん…。」
十四郎は
のことが大好きで----------------------。
も十四郎のことが大好きで----------------------。
両想いなのに親友の一線から超えられない二人。
でも心は通じ合ってるから。
通じ合ってるから-----------------------------。
END
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