「convalescence」
今、
は雨乾堂の中で主の布団を見つめている。
雨乾堂の主は布団の中でバツの悪そうな顔をしている。
「なあ…
…。休むんだったら自宅の方がゆっくりできるぞ…」
「ご心配なく。これは『任務』ですので」
実は昨日までの三日間、十四郎は高熱を出していた。
四番隊第零班班長である
をはじめ、救護班のおかげで
今朝からは熱も下がり、平静を保っている。
しかし病気慣れ…というか熱慣れしている十四郎は、熱が下がればケロッとしている。
熱が下がったということで、溜まった仕事を今朝から片づけようと
ヤル気マンマンであったが、仙太郎と清音に止められた。
それでも仕事をするときかないので、仕方なく
浮竹隊長専属救護班兼親友の「
」に
十三番隊第三席の二人より連絡が入ったのだ。
「「休暇中の処、申し訳有りません。
様」」
仙太郎と清音は、
が今日休暇をとっていることを聞き、さんざん悩んだが、
隊長を抑えることができるのは
しかいないと思い、
無理を承知で彼女に頼んだのだ。
「大丈夫。ちゃんと卯ノ花隊長にも連絡して、『出勤扱い』にしてもらったから♪」
「おい…そこまでする必要はないだろう」
「病み上がりの誰かさんのせいよ!」
「『病み上がり』じゃなくて、まだ『病んでる最中』なんだが…」
「じゃあ、なおさら横になってもらわないと!(--#)」
「う……」
「ということで、私は今日一日此処で書類作業をさせていただきますからね。
仙太郎君、清音ちゃん、お疲れさま。後は任せてネ」
「「はい!それでは失礼いたします!!」」
「仙太郎!清音!お前ら!!」
「はい、病み上がりサンは眠っててくださ〜い(殺気)」
「…ハイ…わかりました…」
から発する恐ろしい殺気を感じつつ、
十四郎は布団の中で静かにしていた。
それを確認すると、
は溜息をしつつ文机で書類作業をはじめた。
怒られてはいるものの、十四郎としては自分の想い人が、一日中自分のそばにいることが
とても嬉しかった。
そんな想いと薬のせいで、いつの間にか眠りに入ってしまったようだ。
「やっと眠ってくれたわ…(苦笑)」
ふぅ〜と小さく息をはくと、
は書類作業をつづけた。
額にふれる、冷たい手の感触で十四郎は目が覚めた。
「…
…」
「気分はどう?よく眠ってたみたいだけど…」
やっぱり朝に飲んだ薬がよく効いたようね…と
は十四郎に微笑んだ。
「そんなに眠ってたのか?」
「うん、もうお昼だしね」
は十四郎が眠っている間に昼食の用意をしていた。
「卵雑炊つくったんだけど…食べられる?」
「もちろん、食べるさ」
「じゃあ、私も一緒に食べていいかな?」
「『食べていいかな』じゃなくて一緒に食べよう!」
は机を用意して、食卓の準備をはじめる。
十四郎は寒くないようにと羽織を着させられ、
布団の上でちょこんと座って待っていた。
「それじゃあ、食べましょ」
「
は、『卵雑炊』じゃないのか?」
「うん。雑炊は一人分しか作らなかったもの」
「……雑炊も食べるが、普通の飯も食いたい…」
「……わがまま…(笑)」
がクチを抑えて笑いを堪えているものだから、
少し恥ずかしくなって
「…そんなに笑わなくてもいいじゃないか…」
「だって、病み上がりなのに食欲あるなあって(笑)」
「仕方ないだろ…腹減ったんだから…」
「食欲があるのはいいことよ(笑)」
は十四郎に白飯をよそってやった。
食事も終わり、机を片付け、
は薬の準備をした。
「なあ、
。もうすっかり良くなったんだし、仕事してもいいだろう?」
「明日、完全に良くなったらね。今日は大事をとって休んで」
「大丈夫だからさ…」
「今度具合が悪くなっても看病しないわよ…。それでもいいなら仕事してもいいわ(--#)」
「それはこまる…」
十四郎の願いも虚しく、静かに薬を飲んで横になった。
仕事がしたいとウルサイ十四郎に少し眠って貰おうと、薬を少々多めに調合した。
そのおかげで
が気が付くと、すでに夢の中へ入っているようだ。
眠っている十四郎を確認すると、
は彼の布団の隣で再び書類作業をはじめた。
三時間ほど経って書類作業も片づき、
は隣にいる十四郎の寝顔を眺める。
穏やかに眠っているその顔見て、病なんて無くなればいいのにと心から思った。
…と、静かな雨乾堂にいるせいか、
十四郎の寝顔を見ていたせいなのか、自分も眠くなってしまう。
もともと今日は休暇をもらっていたのだ。
その為か、仕事はしていても気分は休暇モード。
眠くなるのも仕方がなく、
は座ったまま目を閉じた。
程なくして十四郎の目が覚める。
「
?」
声を掛けてみたものの、返事は帰ってこない。
どうやら座ったまま眠っているようだ。
器用な奴だなと苦笑しつつも、自分を心配して看病してくれる(半分は見張り状態だが)感謝の気持ちと
休暇を潰してしまって申し訳ないという気持ちが十四郎の中で入り乱れる。
「俺の病は『肺の病』だけじゃないんだよ…(笑)」
それだけ
は十四郎の「中」の大半を占めているということ。
「
、そんな寝方をしていると、お前が風邪を引くぞ…」
困った救護班殿だな…と自分の羽織を掛けてやろうとしたとき、
グラリ…と
の身体が倒れてきた。
慌てて十四郎が受け止めたが、本人は全く起きる気配がないようだ。
やれやれ…と困った顔をしながらも、十四郎は自分の手で受け止めた『大切な者』を
嬉しそうに抱きしめていた。
恋の病は、もうじき治って愛に変わる----------------------------。
END
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