「favorite」
「浮竹ぇ〜、知ってるかい?」
十四郎の顔を見に来た京楽が突然言った。
「何だよ?」
「最近よく聞くんだよね〜」
「だから何だよ。」
京楽は十四郎の顔を見てニヤリと笑う。
「お前、自分から振っといて…」
「いや、浮竹にはちょっとショックかなと思ってね…。」
「何だよ!それ!!」
「…知りたい?」
「教えろ!!」
「…いいよ。」
京楽は窓の外を見ながらこう言った。
「
ちゃん、最近『朽木』クンにご執心なんだって。」
「----------------何だって!!!???」
思いがけない事を言われ、頭の中が一瞬真っ白になった。
が!? あの『朽木白哉 』にか!?
「おーい!十四郎クン、大丈夫かい?」
「あ、いや、だ、大丈夫だ。」
「相当動揺しているねえ。だから言ったのに〜」
「………」
「いつまでもモタモタしていると、本当に朽木クンに持って行かれちゃうぞv」
「だいたい君たちは、のほほーんとしすぎてるからねえ…。
少し頑張らないとネェ。ウ・キ・タ・ケ・ク・ン。」
言うことはしっかり言って、京楽は雨乾堂を後にした。
京楽がいなくなった雨乾堂では、落ち着かない十四郎が部屋中を行ったり来たり。
「とりあえず情報収集をしとかなくては。」
が四番隊から診察に来るのは…夕方。
それまでに京楽の言った言葉が本当なのかどうなのか、まずそこから調べてみないと!
さてどうしたものか…と考えていた時、仙太郎と清音が入ってきた。
「「隊長!失礼いたします!お茶をお持ちしました!」」
2人が部屋の中を見ると、恐ろしく狼狽えている隊長が1人。
「「たっ、隊長!どうしたでありますか!?」」
自分たちの隊長の落ち着きのなさに仙太郎と清音はただ驚くばかりで。
「ああ、仙太郎と清音か…」
「「隊長……。」」
「いや…なんでもないんだ……。」
その時十四郎はハッと思いつき、仙太郎と清音に向かってズンズン歩き出した。
「「たっ、隊長!」」
「お前ら…最近、
…じゃなくて四番隊の
班長と喋ったか?」
「「それはもう毎日って……真似するな!」」
2人は相変わらずギャンギャン五月蝿い。
「その時に、
班長が最近『朽木』と仲がいいとかなんとか言ってなかったか?」
浮竹からの質問に少し驚いた2人ではあった…が
清音が思い出したかのように
「あ!先日、
班長が『最近、朽木さんに会うのが楽しみでv』と仰ってました。」
「なんだって!?」
ガクリとうなだれる十四郎。
清音が、何かまずかったことを言ったのだろうか…と少々あわてた。
すかさず、仙太郎がツッコミを入れる。
「何あわててんだあ!?このハナクソがあ。」
「な、何よ!た、隊長に聞かれたから素直にお答えしただけじゃないの!」
「あ…、もう下がっていいぞ…ご苦労だったな…。」
隊長想いの五月蝿い2人を下がらして、とりあえず座った。
「本人に聞くしかないか…。」
俺も相当
に入れ込んでるなあと十四郎は苦笑した。
陽が落ちるころ、
は雨乾堂にやってきた。
「十四郎…診察に来たよ…」
が十四郎の診察をまかされたばかりの頃、午前中に往診に来ていた。
しかし、午前中はかなり忙しいと見えて、あまり長居をしてくれない。
そこで十四郎は、比較的時間の余裕がある「夕方〜夜」、要するにその日の最後の仕事として
雨乾堂に来たらどうかと
に提案した。
はその方がゆっくり診察や治療が出来ると言って喜んだ。
モチロン十四郎にとっても想い人との語らいの時間が増えるので、都合がいいことこの上ないのだが、
今日は素直に喜んでいる場合ではないようだ。
「あぁ…、今日の仕事はもう終わったのか?」
「?」
なんか十四郎の様子がおかしい。
は自分の顔を見ずに会話する十四郎を変に思った。
「十四郎…何かあった?」
「何が?」
「なんか変だよ?」
「そうか?」
「………。」
は黙って十四郎の目をじーーーーっと見つめた。
視線に気づき、思わず
の方へ振り向く。
しかし『あっ!』という顔をしてまた目を逸らした。
「何か隠してるでしょ!」
「隠してなんかいないぞ。」
「じゃあ、私の顔を見て話してよ。」
まるで母親に怒られた子供である。
十四郎は渋々向きを変えた。
「で、どうしたの?またムリして仕事したとか?」
「……
」
「ん?何?」
「最近、朽木と仲がいいんだってな。」
「あ、朽木さん?」
『朽木』の名前を出したとたん、
の顔がパアッと明るくなる。
そんなに好きなのか?アイツのこと。
「でも、正直驚いたよ…。朽木とそんなに仲が良かったなんて…。」
「そかな?でも大分前から仲良くなりたかったから、念願叶ったりってトコかな。」
前から好きだったってことか?
そうか…。ま、でも
には幸せになって欲しいし、アイツが一番だと望む男のそばへ
行けるのなら、それは良いことではないか…。
でも、今日まで全く気づかなかった俺も不甲斐ない。
「で、朽木は、お前のことどう想っているんだ?」
「言葉数は少ないけど、とても優しくしてくれるよ♪」
「そ、そうか…」
本当に白哉が好きなんだな…。
そして白哉もきっと大事に想っているのだろう…。
「でもね、何と言っても朽木さんの素敵な処はね…」
はっきり言うと、あまり聞きたくないのだが…。
仕方ない。
「カワイイところvv」
「か、かわいい??」
「そうv かわいくて、優しくてね、妹にしたいぐらいvv」
「妹?????」
「十四郎は、あんな子を部下に持ってシアワセだよねー。」
「……朽木…ルキアか!?」
「そうだよ?なんか変なこと言った?私。」
あ!京楽のヤツ、知っててワザと!!
十四郎の顔は青くなって赤くなって…。
「あれっ? 十四郎…クン!」
「じゅ、十四郎クン?」
「もしかして、勘違いしたの?」
「なっ、何をだ?」
「フフフフフ…。」
さすがに、隊長を「朽木さん」とは呼べないわよ…。
十四郎と春水以外はね。
それにね…
「それに?」
「ルキアさんと会うのも楽しいけど、毎日こうして十四郎に会うのが、私のなによりの楽しみだもの。」
ニコリと笑ってサラッとそんなことを言うから、俺のほうが恥ずかしくなって
まともに
の顔が見られない。というより嬉しすぎてニヤけている自分の顔を
隠していたといったほうが正しいだろう。
「さあ、夕飯食べて薬を飲んでくださいね…浮竹隊長♪」
「うっ、浮竹隊長!?」
「そうですよ…隊長v」
「
から『浮竹隊長』って言われるのは変なカンジだな…。」
「そうかな…フフフ。」
四番隊の仕事だから、親友だから毎日俺の処へ来ているものとばかり思っていた。
だが『毎日こうして十四郎に会うのが、なによりの楽しみ』と言ってくれたことが
本当に嬉しくて、更に
を愛しく思う。
とりあえず、京楽には感謝…なのか?
一杯くわされたがな…(苦笑)
「どうしたの?十四郎。ボーッとしちゃって…。」
「ん?いや、俺の治療にあたってくれているのが、
でヨカッタと思ってな。」
「本当?」
「俺も毎日こうして
に会うのが、なによりの楽しみだよ。」
END
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