お前だってわかったのに
この苦しさは何だ…
「fill」
- 02 -
瀞霊廷に戻ってきた十四郎と春水。
十四郎の足は自分の隊首室とは違う方向で
「おーい、浮竹!お前さん、何処へ行くんだ??」
「四番隊へ… をさがしてくる」
「さがしてくるって、とりあえず身体を休めた方がいいんじゃないの?」
「そんなこと、してられるか!」
そう言うと十四郎は四番隊詰所へ去っていった。
「君も若いねえ…。
ま、ボクも気がきではないことはたしかなんだけどサ」
春水は十四郎をしばらく見送っていた。
四番隊詰所…。
十四郎はまず、卯ノ花をさがす。
「卯ノ花!!」
「浮竹隊長…。ご本人からとは珍しいですね…」
「ちょっと聞きたいことがあるんだ!」
卯ノ花の腕を掴むとそのまま隊首室へと入って行く。
「どうなされました?浮竹隊長」
「人をさがしている」
「私でわかる事なのですか?」
「ああ、四番隊第零班班長のことだ」
卯ノ花は吃驚することもなく、
「零班のことは極秘事項ですが…」
「そんなこと百も承知だ!」
卯ノ花は、真剣な眼差しの十四郎を見て、少し溜息をしつつ
「貴方様ならそう言うと思っておりました…それで、何をお知りになりたいのですか?」
「零班の班長は… … だよな!」
「……」
「卯ノ花!!」
「そうです。零班班長は『 』殿です」
「 に会わせてくれ!!」
見つかった!
が見つかった!!
こんな近くにいたなんて、何故気づかなかったのだろう…。
京楽もきっと喜ぶはずだ…。
十四郎は込み上げる嬉しさを隠せない様子だった。
しかし、
「それは…」
「?」
「
殿…いえ四番隊第零班班長というのは、護廷十三隊隊長と同等の権力・位を持ちます。
同じ四番隊として、隊長としても私一存では…」
四番隊第零班は上級救護班の上、特別救護班であり、その長である班長は
護廷十三隊隊長と対等の位を持っている。表向きは四番隊の他の班と同じ。
だが四番隊の極秘事項であり「奥の手」なのだ。
それを卯ノ花一存で何もかも教えるというのは無理なこと。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!
は俺の学院時代の同級生なんだよ!
京楽もそうなんだ!!」
「…… それでは、
殿にお伺いを立ててみます」
そこへ隊首室の扉が開く
「卯ノ花隊長。今回の任務のことでちょっとよろしいですか?」
「
!!」
そこには自分を助けてくれた、
何十年もさがしていた…
が立っていた。
「 班長」
「お客人でしたか、これは失礼いたしました」
軽く会釈をして隊首室を出ようとした時、
十四郎が
の腕を掴んだ。
「おい、 ! なんだろ?」
「…… これは十三番隊隊長殿。体調は良いのですか?」
「 !俺だよ!浮竹十四郎だよ!!」
「はい、存じております。十三番隊隊長、浮竹十四郎殿ですよね」
「そうじゃなくって、俺が言いたいのは『真央霊術院同期生の浮竹十四郎』だ!」
「……」
「おい!」
の腕を両手でしっかり掴んで前後に揺さぶる。
「お前は『真央霊術院同期生の
』なんだよ!」
「私は…四番隊第零班班長『
』です。それだけです」
「
…」
「失礼いたします」
十四郎に一礼すると
は隊首室から去っていった。
十四郎本人はというと、ただただ信じられないという顔で呆然と立っているだけ。
卯ノ花が十四郎の背中をポンとたたく。
「浮竹隊長がそこまで仰るのなら、彼女は貴方様の知る『
』殿なのでしょう。
でも彼女には彼女なりの想い・使命感があります。彼女がどんな想いでこの任務についたか。
それをわかってあげてください。私は彼女がどれだけ辛かったのかを少しだけ理解しているつもりです…」
「それに…」
「それに?」
「あの方はこの四番隊に来たときからあの調子で…。喜怒哀楽を…笑顔を見せたことがないのです…」
「なんだって…!?」
四番隊詰所を出たら疲れが一気に出てきた。
『
ちゃんの持ち前の明るさ…というか…。
らしくないんだよ。感情を押し殺したというか、とても悲しい霊圧』
春水の言葉が頭をよぎる。
「俺は、昔のように笑ったお前が見たいんだ。京楽だってそうさ。
だれもお前の悲しい顔なんか見たくないんだ」
しかしあのままでは…
どうしたものか…
十四郎の足が止まった。しかしすぐに
「とりあえず
の居所がわかっただけでも良しとしないとな…。
これからだ。これからが問題なんだ」
そう自分に言い聞かせて雨乾堂へ足を速めた。
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