これからどうしようかって思っていた矢先の
出来事だった…。




































「fill」

- 03 -
































あの虚退治の一件から
十四郎の体調がすこぶる悪い。
微熱が一週間近く下がらずに現在にいたる。


「体力もそうだが、これは精神的にもダメージ受けたかな…」


フフ…と自嘲的に笑う。

かといって飲みたくない薬を飲むのもなあ…と
文机にある薬の束に目をやる。


「薬はどうもニガテだ…」


四番隊特製の浮竹専用飲み薬だというのに
飲む気がない…というか面倒くさいらしい。






「「 隊長っ!!」」


ダブルで声がして
十三番隊第三席の小椿仙太郎と虎徹清音が勢いよく入ってきた。


「体調は如何でありますか?」
「ああ!それは私が言おうとした台詞だ!!」


「お前達を見てると熱が上がりそうだよ(苦笑)」


「「 うわっ!これは申し訳ありません!!」」


「とりあえず、氷のうの替えを持ってきてくれるか?」


「「 はいっ!!」」



そしてまた、勢いよく去っていった二人。
それを見て十四郎は、何故いつもああなんだろう?と小さく溜息をついた。


「さすがに今の状態でアレはキツイ…」


この調子の悪さも四番隊には耳に入っているだろう。
卯ノ花にまた叱られるなあ…。
ヤレヤレ…と思っていた頃、仙太郎と清音が氷のうを持って入ってきた。


「「 隊長!氷のうであります!!」」


「すまんな。ところでお前等、もう少し病人の前では静かにできんものか?」


「「 はっ!申し訳ありません!!」」



だから…全く静かになってないじゃないか…と思ったが、十四郎は言うのをやめた。



「…まあ、いいよ(苦笑)…。少し眠るとしよう…。ご苦労だったな」



そう言って二人を下げさせようとしたとき、清音が思い出したように



「あっ!隊長!さきほど四番隊の地獄蝶が来て、卯ノ花隊長からのご伝言を承りました」



ほうら来た!卯ノ花の説教だ…
とりあえず聞いておこう…

























「今日から隊長専属の救護班がつくそうです」
























「は?」




















おいおい、エライ大げさになったもんだな。
俺もとうとう救護班付きになったか…。



「それでですね、日に2回、午前中と夕方に来るそうですよ。
 これで隊長も薬を飲まないわけにはいかないですよネ」




ニシシ…と清音が笑った。




「「 それでは失礼いたしました!!」」




部屋から出ると同時に、いつもの騒がしい二人に戻った。













「救護班…卯ノ花のヤツ、とうとう強行手段をとったな…
 さて、どうやって救護班を撒こうか…。こっちはそれどころではないのだ」




十四郎は考える。




「一週間前にやっと見つけた となんとかして話をしたいのだが、今はこのザマだし…」



しかたない…、京楽にでも頼んでみるか…。
そう思った頃、外が騒がしくなる。
どうやら人が来たようだ。



「おっ、来たな救護班!まあ初日ぐらいは顔でも拝んでやろう」



十四郎は布団の上にどかっと座り、一枚羽織った。




「「 隊長、失礼します!!救護班の方がお見えになりました!!」」




仙太郎と清音の声が部屋に響く。




「入っていいぞ!」



さあて、どんなヤツだあ?と
十四郎は顔をあげた。

 

 

 

 

 

 



「四番隊特別救護班、浮竹隊長付きの救護班として参上いたしました」

 

 

 

 

 

 



!」


俺付きの救護班って だったのか?
少々混乱する十四郎。


「なぜ、お前が…」

「山本総隊長・卯ノ花隊長の命ですので」



いくら二人の命とはいえ、この展開はどうなんだ!?
もしかして卯ノ花が気を利かしてくれたか?
などと色々考える。


「命とはいえ、わざわざ零班班長が出向くことも…」

「それぐらい症状が良くないということです」


さらに は言葉を続ける。


「今まで、上級救護班の治療・投薬で改善があまりみられなく、ましてや隊長というお立場。
 なるべく早く良い方向へ向ける為、卯ノ花隊長のお考えにて決定されました」


やはり卯ノ花か…。


「しかし…」


は言葉を続けながら、部屋の文机を見る。


「薬を飲む気にはなれませんか」

「あ、いや、これは…」

「治りたい…生きたいという気にはなれないのですか?」


うっ、と十四郎の言葉がつまる。



「我々四番隊は、護廷十三隊隊員をお助けする立場にあります。
 しかし外傷ならともかく、先天性の病・虚からの未知なる負傷は完全に治せる訳ではないのです。
 一番有効なのはご本人の『治りたい・生きたい』という心・執念です。我々はその想いに少しだけお手伝いを
 させていただくだけ。そのチカラが他の救護班よりも高いというのが第零班なのです。
 それなのに、貴方は治そうと思う気がないのですか?薬を飲まずに調子のいいときだけは動き回り、悪いと臥せる。
 それでも隊長のなさることなのですか?十三番隊隊員をないがしろにされるのと一緒ではありませんか!」



十四郎は言葉が出なかった。
たしかに言われてみればそうなのだ。自分の都合のいいように勝手に過ごしてきたのは事実。
自分のせいで隊員達がどんなに心配しているか、自分では理解していたつもりだった。


そして…真っ直ぐ の目をみつめる。


「そうだな。俺は考え方が甘かったかもしれない。
 でも、隊員達をないがしろにしているつもりはない」


十四郎の真剣な眼差しに気づいて が少し頭を下げた。


「いいすぎました…申し訳ございません」







「変わらないなあ… のそういうところ」


十四郎は のひたむきで何事に対しても一生懸命な所が大好きだった。
だから何十年たった今でも変わらない を見て嬉しく思った。



「とにかく、1日2回、こちらに顔を出しますので、その時に薬を必ず飲んでいただきます。
 それと検温と問診。まずは1ヶ月間このサイクルで実行いたします」

「ああ、わかった」

「それでは、また夕方に」

「ちょっと待った!」

「何か?」

「俺の救護班というのは、他に誰がいるんだ?」


十四郎が にそう聞くと、


「私のみです」


と言って部屋を後にした。









これは卯ノ花にお礼を言わないとなあ…。









この直後、卯ノ花あてに『恩に着る』の言葉だけの地獄蝶が舞っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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