「fill」

- epilogue 05 -























 

 


 

 








「マズイことは重なるものだなあ…」


は現世の…ある河川敷に寝転がっていた。
今朝までかかった上層部の施術任務、先程までの救護活動に、新人隊員のフォローまでしたおかげで
霊力が限りなくゼロに近い状態でいた。
部下の者に助けられるのを恥と思い、極端に嫌う は他の隊士達を先に帰らせた。
それが上に立つ者であると思っていたから。それが自分に対する試練だと思っていたから。
しかし回復薬も使い切ってしまって今はない。すべては救護活動に費やしてしまったのだ。



「さっき、上級救護班班長に睨みをきかしたおかげで、完全に動けなくなった(苦笑)
 まあ、半日ぐらい眠れば回復するんだけど…」



ここでは眠れそうにないなあ…。しかも起きあがることもできないし。
斬魄刀も自分の霊力が作用するので、使えない状態。



「あー、睡魔が…」



霊力不足で、体が睡眠を要求してくる。














 

 




そんな状況で虚の気配がかすかにした。


 

 

 

 




「まあ、都合良く来るもんだね…」


まあ、あれぐらいの虚だったら、新人死神だって滅却できるでしょうに…
そんな虚にヤラレちゃうんだ…私。
修行がなってないなあ…やはり私は強くなれないんだな…





そんな風に思っていたら、色々な感情がわき上がってきた。















十四郎と春水と一緒に卒院式に出たかったなあ…。

 

 

 

 



強くなった私を二人に見てほしかったなあ…。

 

 

 

 



陰で二人の手助けをいつまでもしたかったのに、情けないよね…私。

 

 

 

 

 

 


ごめん…ごめんね…






 

 

 

 

 

 







そして意識が遠のいた。
















 

 





遠くで自分の名前を呼ばれている気がした。
虚の叫び声と共に…。





















































































気が付くと はベッドに寝かされていて、
それに気づいた零番隊の隊員が


「卯ノ花隊長! 班長が目を覚まされました!」


と告げた。


殿!」
!」
ちゃん!」


卯ノ花、十四郎、春水が駆けつける。



「ここは…」

「四番隊の詰所です。京楽隊長と浮竹隊長が貴女を助けてくださったのですよ」

「京楽隊長と浮竹隊長が…」

 



二人の顔を見る

 

 

 

 

 

 

 



「京楽隊長、浮竹隊長…申し訳ありま「馬鹿野郎!」」



十四郎が怒鳴り、周りの連中が固まる。
彼が怒鳴るということは、まず無いのだ。
一番驚いたのは他でもない であろう。



「誰の手も借りずに成長するだと?そんなこと出来るわけないだろう!
 俺も京楽も、ここに居る奴全員が皆助け合って成長していくんだぞ!
 たった一人で強くなるなんて、そんなこと出来はしないんだ!」


はただ黙って十四郎を見つめる。


「誰からの手助けも拒んで、あんな状態で一人現世にいることが、どんなに心配されて
 どんなに迷惑がかかっているかがわからないのか?あんなことでは隊を纏める長として失格だ!」
「浮竹、それは言い過ぎなんじゃないの!?」


春水が十四郎を止めようとした。



「いいんです!京楽隊長!」
ちゃん…」
「浮竹隊長の言うとおりです…。結局は自分のことしか考えてなかったのと一緒だったんです」








 

 

 

 














「なあ… …」



十四郎がクチを開く。



「俺達はそんなに頼りにならなかったのか?」
「……」




とても悲しそうで辛そうな十四郎の表情を見て、 は胸が締め付けられる想いだった。




と一緒にこの護廷に入って、一緒に任務をこなして…そして…」




「そして、俺達がオマエを護りたかったんだよ…ずっと」




「………」

















が起きあがって、独り言のようにポツリ、ポツリと話し始めた。


「卒院式の一ヶ月前、院長先生に呼ばれて、『護廷の極秘任務に入らないか?』と言われ…」

ちゃんの霊力の高さじゃあ、勧誘されてもしかたないか…」

「正直悩んでた…。私も護廷十三隊の一員として任務をしたかったから。だからその任務を断ろうとしたとき、
 先生に『自分の大切な者を護る為にも是非入って欲しい』と言われて。
 その時思った。こんな私でもあの二人を護れるのかも知れないって。」

…」

「極秘任務ゆえ、学院の在籍記録は消されてすぐに零班に入り、数年後、班長となったけれども、
 まだまだ力不足で、もっと強くなりたかった…。強くなってずっと護っていきたかった…。
 だから極力接触を避け、自分に厳しく、感情は一切出さないようにしてきたつもりだった。
 人の手助けは借りない。喜怒哀楽はださない… …でも…」

「でも…?」

「今回のようなことでは、班長として失格です。」



あのなあ…と溜息混じりに十四郎が話し出す。

「俺は、そんな に護られたくないぞ!そんな悲しそうな顔をしたお前にな!」

「………」

「苦楽を共にし、笑いたいときは笑い、怒るときは怒る。俺が知っている『 』はそんな奴だ!」

「………」













「卒院式から何十年、こうしてやっと会えたんだ…いつもの に戻ったっていいじゃないか…」


十四郎の真剣な瞳が に刺さる。


ちゃん…、 ちゃんはもう充分強いよ?でもサ、今度は僕たちにも護らせて欲しいなあ…。
 それからね、自分に厳しいことも大切だと思うけど、浮竹が言ったように
 『笑いたいときは笑い、怒るときは怒る』これも強くなる秘訣だと思うよ。
 楽しいことがあるから、嬉しいことがあるから、人は強くなれるんだと思う… ね?」


「………」




春水が語りかけても… は喋らない…ずっと下を向いたまま。











 

 

 

 









そして…












 

 

 

 








「ごめん… ありがと…ね…  十四郎…、春水…」

 

 

 

 

 

 



…」
ちゃん…今、僕のこと…!!」

 

 

「きゃっ!」



嬉しさのあまり、春水が に抱きついた。それを見た十四郎が、




「何、ドサクサに紛れて抱きついてるんだよ!」

と言って、春水を から引き剥がした。

そのやりとりを見て、 は久しぶりに笑った。嬉し涙と共に…。
その顔をいつまでもいつまでも嬉しそうに十四郎は眺めた。


 

 

 

 

 

 

 

 



嬉しそうに… 愛おしく…











 

 

 

 

 

 

 





でも三人が三人とも

「「「自分が盾になる…これからもずっと…」」」

と決意を秘めていたのは…お互いに知らないことである。





 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 







 END


























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 ヒロイン設定の長ーいイイワケだと思って読んでくだされば…と(^^ゞ
 最後までお付き合いしてくださってアリガトウゴザイマシタ。