「forehead」
昼過ぎに
は回診のために雨乾堂へ足を運んだ。
いつもなら夕方か夜に行くのだが、今日は任務の都合で
かなり早い時間になってしまった。
地獄蝶を前もって飛ばしておいたので、いないということはない。
もし仕事でいなければ、十三番隊の三席連中から連絡があるはず。
その連絡もないので、雨乾堂で静かにしているのだろうと
は思った。
「十四郎、入るわよ」
「………」
返事がない。
部屋の中へ入ってみると、雨乾堂の主は布団をかぶって寝ていた。
具合が悪くなったのかと思い、布団を少しめくってみると
そこには真っ赤な顔をして眠っている十四郎。
具合が悪いのか、ただ暑いのか。
見ただけでは判断しがたい。
しかしこの部屋はかなり暑い。
季節的にはまだまだ暑いというのに
窓は閉め切ったまま。
しかも眠っている十四郎は冬用の布団を頭までかぶっていた。
「…これじゃあ暑いわ…」
こんな寝方をしていては、身体に良くないと思い
とりあえず窓を開け、風を通す。
それだけで部屋の暑苦しさが緩和され
十四郎も気持ちが良いせいか、寝息が穏やかになる。
しかし起きる気配はない。
「めずらしいわね。ここまで起きない十四郎も」
十四郎の顔をじっと見ていたら、顔に汗がにじんでいたので
持っていた手拭いで拭いてやった。
額には彼の白い髪が汗でくっついていた。
それを剥がすように前髪を全部上へあげた。
十四郎のおでこ全開の顔------------------------。
(かっ、かわいい!!)
おでこを出した方がずっと可愛いのに〜。
……… ( ̄ー ̄)ニヤリッ
霊圧的には具合が悪いわけではなさそうだし、
紐で十四郎の前髪を縛っちゃおvv
は自分の髪を縛っていた紐をはずして十四郎の前髪を頭のてっぺんで縛ってみた。
「うわぁ…v」
あまりのかわいさと、可笑しさで、かなりニヤけた顔で
十四郎の顔を覗き込んだ。
それでも起きない…
と思った時、
十四郎の目が突然開いた。
は少し吃驚して固まる。
それは十四郎にしても同じ事だった。
「あ…」
「じゅ、十四郎…。やっと起きた〜」
「…
…?俺寝てた…か?」
「そりゃあもう。起きないのなんのって(笑)」
「す、すまん。お前を待っていたら急に眠くなってな。少し目を瞑っていただけかと思っていたら…」
「具合が悪いワケじゃないのね」
「ああ、それは大丈夫だ。ただ眠かっただけさ。それにしても暑かったな…」
十四郎は目を擦ろうとして顔をさわる……が、
今日はいやに視界がいい。
というよりは、前髪が…ない!
「あ、あれ?」
「どうしたの?(笑)」
「前髪が…」
「フフフフフ…」
は笑いながらそばにあった手鏡を渡す。
「はい、十四郎!」
「え?あぁ、すまない。」
「(^_^)にこにこ…」
「……」
「………」
「うわあああああ!」
あまりの驚きように
はビックリしたが、しばらくしてだんだん可笑しさが込み上げてきて
今度は十四郎に背を向けて笑いを堪える始末。
十四郎はというと、紐を急いで取り、前髪を直している。
「えー、取っちゃうの?」
「『取っちゃうの〜』じゃないよ!額見せるイヤなんだ…」
え?今なんと仰いました?
『額を見せるのが…イヤ』??
「へぇ〜、そうなんだ〜」
「な、なんだよ…」
「十四郎くん!」
「じゅっ、十四郎くん!?」
「おデコ見せた方がカワイイよv」
「ダッ、ダメだ!!」
前髪を抑えながら、首を横に振る十四郎。
は子どものように目を輝かせている。
「でも、涼しかったでしょ?」
「……」
「春水も、朽木隊長も…ほら更木隊長もおデコ見せてるじゃない」
「他は他!俺は俺だ!!一緒にするな!」
「ふ〜ん…」
「……」
「仙太郎くんや、清音ちゃんに見せ…「それだけは絶対ダメだッ!!」」
アイツらに見せたら、護挺中に言いふらしかねん!
「おデコ出しても、十四郎はカッコイイよ…」
「ん?」
「カワイイけど、カッコイイと思う…のに〜」
つまらなそうに
が言うので、十四郎はヤレヤレ…と思ったが、
何を思ったか、
の前髪をいきなり上に上げた。
「な、なに?」
「
が額を見せれば『可愛い』という言葉もしっくりくるぞ」
「え〜、私はおデコ見せてもかわいくないよ〜」
『エヘヘ…』と少しはにかんだ笑顔と額全開の顔……
うわ… 本当に可愛い…
「やっぱり、
も額を出してはダメだ!」
「やっぱり似合わないか〜」
「そ、そうじゃない!似合うからダメなんだ!」
「?」
こんな
を見せたら、変な虫が沢山ついてしまう!!
「特に春水はダメだ!」
「笑われるから?」
「違うって!俺だけが見たいから… あっ!」
何、言ってんだ!!-------------------俺!!
「見たいなら、いくらでもどうぞ♪」
ウフフと笑いながら
は自分の額をペチッと叩いた。
「…じゃあ、俺の額は
だけに見せるよ…」
「えっ!?ホント!?」
「但しだ!
は俺以外にあまり見せないこと。俺は
以外には見せない!」
「…いいけど、なんか変な約束ね(笑)」
「そうか?」
「だって、たかが『おデコ』の話デショ?」
「仕方ないだろ、イヤなものはイヤなんだ」
「あはは… わかったわ(笑)」
十四郎って昔から変なところで子どもっぽいんだから…と思いながら、
自分の額は何故、他人に見せてはいけないのか?
何故、十四郎だけが見たがっているのか?
全くわからない。
「ねえ、なんで私のおデコは他の人が見ちゃイケナイの?」
「……」
「なんで?」
「…さっき言っただろ?俺が見たいから。」
「なんで十四郎だけなの?」
「え?そ、それは…」
「???」
しばらくの間、十四郎は
に問われっぱなしだった。
END
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