「head on the
lap」
今日はことのほか月がキレイだったので、隊首室の屋根の上で
月見酒と洒落こんだ。
七緒ちゃんにも声をかけたんだけど、
「明日の任務にひびきますので」
と言われて断られちゃった…。
ま、そう言われると思ってたケドね…。
「ん〜、いいねえ…」
やっぱり
今日の月はナカナカのモンだよ。
この月で一杯飲まないなんて、かなりの損だと僕は思うよ。
しかしだね…
腹減ったなあ…。
そういえば僕、今日のお昼食べてなかった…。
「かといって、何処かに行くのも、買いに行くのもねえ」
仕方ない、今日は酒だけで…
と思ったとき、後ろで誰かの気配がした。
「春水ー!」
「誰かと思えば…
ちゃんじゃないの」
彼女は
ちゃんと言って、四番隊に所属している。
学生時代の同期で、僕が一番大事に想っている人。
浮竹も狙っているみたいなんだけど、
彼女が幸せならそれが一番だと思っているから「見守る愛」に徹している。
貫く愛もあれば、見守る愛もあるってね…。
「どうしたの?こんな時間に?」
「任務でちょっと遅くなっちゃったんだけど、ココのそばを通ったら春水の気配が屋根からしてね。」
「うん」
「今日は月がキレイだから、きっと月見酒でもしてるかなーって思って。」
嬉しいじゃないの。僕のことよーくわかってるよね…。
「でね、家に帰ってご飯食べようと思ったんだけど、こんなにキレイな月だし、
月を見ながらご飯が食べたくなって。
それでね、春水の酒の肴がわりにもなるから…持って来ちゃった。」
そう言って、なにやら風呂敷を広げはじめた。
残り物もあるけどドウゾと小さな重箱を開ける。
「わざわざ家に帰ってから持ってきてくれたの?」
「うん」
「ココとそんなに近くないでしょ!?」
「あ、『瞬歩』で…」
ちゃん…たぶん『瞬歩』の使い道、間違ってるよ。
でも嬉しいけどね。
「
ちゃんが全部作ったの?」
「ん?そうだよ。あり合わせばっかりだけどね。」
エヘヘと
ちゃんは笑う。
まいったねえ…想い人にこんなコトされちゃあ、誰でもノックアウトじゃない。
「…こいつは美味い!」
「そぉ?ヨカッタ!」
「
ちゃん、いい奥さんになれるよ!」
「春水、その言い方、オヤジ臭い〜」
本当に、いい奥さんになると思うよ…。僕が保証するよ。
「
ちゃんも飲むかい?」
「…じゃあ、一杯だけね。」
そう言って杯を手に取り、僕が注いだ酒を一気に飲み干した。
「いい飲みっぷりだねえ。」
「フフ。では、ご返杯。」
好きな人にお酌をしてもらうというのは、本当に幸せなことだよね。
…なんか良い気分になってきたよ…。
「春水?あれ?」
寝ちゃったのかな、と
は顔をのぞき込んだ。
そこには少し顔の紅い春水が幸せそうに寝入っていた。
「春水!春水! あー起きない。」
こんな所で寝込んじゃったら風邪引くのに…
かといって、このまま置いて帰るのもカワイソウよね。
「しょうがないなあ…」
は傍に脱ぎ捨ててあった羽織を春水に掛け、
膝枕をしてやった。
「こんなに素敵な月なのに、寝ちゃったら意味がないでしょ…?」
まったく!と溜息をついて、ひとり月を眺めた。
そして月の光に照らされた春水の顔を見て、
「春水って結構子供っぽい顔してるカモ…」
髭が無くても色男だと思うけどなあ…
そんなことをつぶやきながら、鼻をチョンとつついた。
うーんと言いながら、寝返りを打つ春水の顔は
先程よりも紅かった…。
END
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