「his kimono」
八番隊へ常備薬の届け物のついでに、春水に挨拶しようと
奥の隊首室へ顔を出した。
「春水いる〜?って、あら居ない。」
見てみれば部屋の中に主はいなく、
いつも羽織っている桃色の着物が無造作に置いてあった。
「春水がこの着物を羽織って行かないなんて珍しいな…。
それにしても脱ぎっぱなしはダメじゃない。」
春水曰く『安物の女物さ』って言うんだけど、
彼は上級貴族サンだし、私が言う『安物』とは比べものにならないぐらいの高価な物だったりして(^^ゞ
そんな事を思いながら、着物をたたもうとした----------が
自身持っていない色と柄の着物だったものだから
ちょっとだけ羽織ってみた。
「やっぱ変かな…?女らしい色って全く持ってないんだよね…。」
と、そこへ着物の持ち主が帰ってきた。
「あれ?
ちゃん…?」
「あ、春水。」
いつも羽織っている着物が脱ぎっぱなしにしてあったから
ちょっと着てみちゃった…ゴメンネ。 と春水に言ってみたものの何の返事もない。
「あの〜 春水? もしかして怒って…」
「こいつは驚いたね…」
「???」
春水の驚いた顔に驚く
であったが、とにかく着物を脱いで春水に返そうとした… が、
「そのまま脱がないで!
ちゃん!」
「え? なに??」
「いつも黒とか紺ばかり着てるじゃない…
ちゃんって。」
「うん」
「こうして明るい桃の花のような色も似合うんだなあってさv」
「…そうかな…。」
「でも桃の花よりは桜の花みたいな、もっと薄い色の方が品があって似合うと思うな…」
春水は顎に手をあてて『うーん』と唸ると
「よし!これから桜色の着物を買いに行こう!」
「な、なにを言ってるの?着物を買う余裕なんてないよ!」
「ボクが買ってあげたいのさ。」
「ダメダメ!なんの理由もなく買ってもらうワケにはいかないよ。」
「いいってv」
「それにまだ仕事中だし…」
「もうすぐお昼だから、ゴハンついでに行けばいいじゃないv」
「う…。」
結局、買ってもらうことになってしまいマシタ。
*
「こんな高価なものを…。春水〜貰えないよ…。」
「それほどでもないよ」
「あはは…」
金銭の価値観が…(^^ゞ
恐縮する
を見て、春水が、
「じゃあさ、一つ約束してくれない?」
「なにを?」
「たまにでいいからサ、ボクとご飯食べたり、飲みに行くときはコレを着て欲しいナァ…」
「…それでいいの?」
「それで充分サ。」
はニコッと微笑み
「わかった。とにかく一番に春水に見てもらうね。ありがとう!!」
「楽しみにしてるよv」
「ということは…」
「なんだい?」
「春水が羽織っているのと、私が着る着物は色が似てるから、お揃いっぽいね♪」
凄い嬉しそうに
ちゃんが言うもんだから、
ボクまでもっと嬉しくなっちゃうねえ。
買ってあげてヨカッタと、かなりご満悦で
と別れた。
隊首室に戻ると、さっきまでボクの想い人が羽織っていた
自分の着物が軽くたたまれていた。
それに袖を通すと、彼女の香りがフワリとしてきた。
「ん〜 いいねえ…。」
一言そう言って、ごろんと横になり目を閉じた。
フフッ…。
きっといい夢が見られそうだネv
END
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