「it nurses(kyoraku ver.02)」
「へーくしょんっ!」
ボク、風邪引いたのかナァ…。
ズズッと鼻をすすって、七緒ちゃんを呼んだ。
「七緒ちゃーーーーーんvv」
「お呼びですか?隊長。」
隊首室の隣にいた七緒は、すぐに京楽の前に現れた。
「ボクさあ、風邪引いちゃったみたいなんだよね。」
「それはいけませんね。」
「………それだけ?」
「それでは、お酒はお控えになり、薬をお飲みになってお休みになられたほうが良いですね。」
「………なんか冷たくない?」
「そうですか?」
七緒は京楽の机に水と風邪薬を置いて
「とにかく、お酒は控えてください。そして隊首室で少しお休みになって下さい。」
仕事に戻ります…と、七緒は隊首室から出ていった。
「つれないねぇ。」
まあ、少し眠れば治るだろうと、七緒の言ったとおりに
薬を飲んで、少し眠ることにした。
*
目が覚めた時には外はすっかり暮れていて、机には七緒からの置き手紙。
「京楽隊長
任務で出かけなくてはならなくなりましたので、今日は失礼致します。
風邪が酷くならないように早めにお帰りになってください。」
酷くならないように…か…。
「でも酷くなっちゃったみたい……。」
京楽は、かなり熱が出ていたらしく、動くのもシンドイようだ。
「今日はここに泊まるとするか…。」
隊首室にも寝泊まりできるよう、生活用品は揃っているので不便なことはない。
「風邪なんて何十年ぶりだろう…まいったねぇ…。」
さすがに酒も呑みたくなければ、食欲もない。
とりあえず今晩寝たら治るだろうと思い、眠りはじめた時、隊首室を訪ねる声がした。
「春水!大丈夫なの?」
「
…ちゃん?」
そこには京楽の親友で想い人----------------、
が心配そうな顔をして立っていた。
「どうして、
ちゃんが…」
「夕方にね、伊勢さんから春水が風邪を引いたみたいだから、帰りに様子を見に行って欲しいって言われてね。」
「うん」
「伊勢さんがそこまで言ってくるのは珍しいから、もしかして結構酷いんじゃないかなって思って。」
さすが七緒ちゃーーーーんvvv
感謝!感激だよぅ…!!
「春水のことだから、何もしないで寝てるだけだと思ったから、家から色々持って来ちゃった。」
そう言って小さなお鍋やら重箱、果物まで京楽に見せた。
「これ、家から持ってきたのかい?」
「うん、ここの隊首室がどのぐらいの設備があるかわからなかったからね。
家で作って持ってきた方が早いかなって思って。」
とりあえずゴハンを食べて、薬を飲みましょう。と
が言った。
「薬は…」
「大丈夫。ちゃんと持ってきたから。」
何のための四番隊だと思ってるの?と少しふざけて、急ぎ食事の用意をはじめた。
「はぁ〜ご馳走様〜。」
「熱があると味がわかりにくくなるけど、大丈夫だった?」
「とても美味かったよvv」
「そう、ヨカッタ。」
は京楽に飲ませる薬の準備をする。
「えーと、今はどんな具合なの?」
「そうだなあ、熱があるのと、ダルイのと、関節がイタイ…ぐらいカナ?」
「ん〜、どのくらい熱があるのかなあ…。」
はそう言うと京楽の額に自分のそれをあてた。
わーーーーーーーーー!!!
ちゃんっっっ!!!
そそそそそれは余計熱が上がっちゃう!!!
本人は…というと、院生からの腐れ縁、何歳になってもやることは昔から変わらない。
相手がどんな想いでいるのかなんて気にしてもいないだろう。
「結構熱あるね…って、春水!?どうしたの?顔が真っ赤だよ!?」
「い、いや… ナンデモナイデス……。」
じゃあ、解熱の薬と一応胃薬も飲んでね…と白湯と一緒に薬を京楽に渡した。
「食事もなんとか出来たし、たぶん今晩眠れば明日には下がると思うよ。」
「悪かったね…
ちゃん。」
「なーに言ってるの!春水、少し働きすぎなんじゃないの?」
「それは…ないなあ…(苦笑)」
「そうなの?でも、お酒はもう少し減らした方がいいかもよ。」
「
ちゃんまで七緒ちゃんみたいなことを言う〜。」
「でもね、伊勢さんだって春水のことを心配して言ってるのよ。」
「それはわかってるけどサ〜。」
七緒ちゃんに言われるのと、
ちゃんに言われるのじゃあ
反省度がかなり違うナァ……。
そんな他愛もない話をしていると、睡魔が突然やってきた。
せっかくの楽しいひとときなのに…。
「
ちゃん、なんだかボク眠くなってきちゃって…。」
「薬のせいね…少し眠った方がいいわ。」
は水で濡らした手拭いを、そっと京楽の額に置く。
その手を京楽は掴んで、
「あのサ、1つお願いしてもいいかな?」
「? いいけど??」
「ボクが眠るまで、こうして手を繋いでてもいいかな?」
は少し吃驚したような顔をしたが、すぐにそれは笑顔に変わり、
「もちろん!」
と言って、あらためて京楽と手を繋いだ。
「じゃ、おやすみ…。」
「おやすみ…春水…。」
京楽は安堵の表情を見せ、眠りに入った。
は熱で熱くなった大きなその手を両手で包んだ。
「目が覚めたら、リンゴでも剥こうね…春水。」
END
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