「promise a tear」






















あの旅過の一件…いや、藍染の一件と言った方がいいだろう。
あれから一週間が経とうとしている。
旅過である一護君たちも現世へ戻り、俺はその後かなりの血を吐いた。
気が付けば、そこは四番隊の特別集中治療室で、三日も意識が戻らなかったらしい。









「お目覚めですか?浮竹隊長」









目が覚めると、目の前に卯の花が立っていた。









「ご気分は如何ですか?」
「…あぁ、今はかなりイイ…」









不思議だ。あれだけの血を吐いて、三日間も意識がなかったのに、
今はすこぶる気分が良い。









「卯の花…」
「なぜこんな急に体調が回復したか…。不思議に思われているでしょう?」
「あ…、あぁ…」
「特別救護班班長、 殿のお陰です」
「… の?」



















は、俺専属の救護班であり、学院時代の同級生であり、
京楽共々親友であり、それ以上に俺の想い人である。
俺の専属ということで治療をしてくれるのは当然と言えば当然なのだが、
あの旅過の一件…というか藍染の一件で護挺の死神達はかなりの痛手を負った。
そんな状況の中で、俺の治療だけに専念できる状況であるわけがなく、
ましてやこんなに快復の早い治療を施せるなんてことは…。



















「しかし…俺だけにかかわる事なんて…今はできるわけ…」
「もちろん、他の方々の治療も行ってます」
「じゃあ…なぜ…?」
「この三日間、自分の任務が終わった夜に…残った霊力のほとんどをアナタに使っていたのです」









「なに?」









「倒れない程度のわずかな霊力だけを残して…」
「それじゃあ、 は今何処に!?」
「今日は休みなさいと言ったのですが、『休んでいる場合ではない』と言って…。
 いつもの様に各救護所を廻っていると…」



















の霊力は、隊長クラス以上のチカラ・量を誇っている。
しかし限度があるのも当然のことで、いくら量があるといっても今は緊急事態。
本人もかなりシンドイはずだ。
そんな時に残った霊力のほとんどを、一隊長の為に使うなんて…自殺行為もいいとこだ。



















「体調も落ち着いたようですし、浮竹隊長は隊首室へ戻られても大丈夫です。
 あとで 殿に寄るように伝えておきます」
「すまない」







































外では仙太郎と清音が迎えに来ていた。

























































































夜になり、辺りもだいぶ静かになった頃、 が雨乾堂へ来た。









!」
「………」









は喋らない。
少しうつむき加減でいるせいで彼女の表情もわからなかった。



しばらくして彼女が一言発した。



  















「今日の分の治療を致します」
「今日はいいから、お前は休め! がまいってしまう!」
「静かに…。仰向けに寝てください」



















その時はじめて彼女の表情を見ることが出来た。
そして愕然とした。
顔色は青白く、頬はこけ、目の下には酷い隈。
見た目では俺よりも具合の悪そうな がそこにいた。
そしてこれから俺に施術をしようと、霊力を溜めているその手を掴んで施術を止めさせる。



















!いい加減にしろ!」



















しかし は俺の制止を無視して手を掴まれたまま霊力を溜めはじめた。
仕方なく霊圧を少し上げ、 の動きを再度制した。
それでやっと彼女の動きが止まる。



















動きが止まったと同時に俺の手に落ちる数粒の雫。









…?」
「なんで…元柳斎先生と戦わなくちゃいけなかったの?」
「えっ…?」
「なんで…十四郎も春水も怪我をしなきゃいけないかったの?」
「………」
「なんで…十四郎が意識不明にならなきゃいけなかったの?死ぬかもしれなかったのよ?」
「それは…。」
「死神はいつ死ぬかわからない稼業…。 だけど…!」









は十四郎の腕を掴み、声を出さずに泣く。
泣き虫だった の涙を何度も見ていた十四郎だったが、
今日ほど悲痛な顔を見たのは初めてだった。









…」
「私を…おいて行かないで…」







































「私を独りにしないで…」







































そのまま、崩れるように気を失う。









!」









いきなり倒れたので少し驚いたが、規則正しい寝息を確認し
この三日間の疲れが限界に達したのだとわかり、少し安心した。
もし俺が任務や病気であの状態だとしたら、ここまで が言うことはないだろう。
親友である俺達と恩師である元柳斎殿との戦いが には堪らなく辛いことだったのだ。
己の正義のために…いや、元柳斎殿にわかってもらうためには、もう戦うしかなかった…。
それでもし自分の命が終えようとも…。









しかし…だ









戦いは途中で避けられたものの、
三日間は瀕死の状態で、それを最愛の者に助けられ、その最愛の者を泣かす始末。
そんな奴が『己の正義』と称して戦う資格があったのだろうか。









自分の大事な者を護れずして一体何が出来るというのだ。







































涙でぐしゃぐしゃになった の顔を自分の着物の袖で拭いてやった。
具合の悪そうな顔で眠っている を抱きしめる。









「ごめんな… 。お前を泣かす気は無かったんだ…。もうお前を泣かせたりはしないから…」









涙で濡れた袖を見ながら、俺は の涙に誓った。







































だから…







































目が覚めたら…笑顔を見せてほしい……。
俺もお前のために笑い続けるから……。






























 END


























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