「prophetic dream」
「……郎」
十四郎は眠っていたが、誰かの声で起こされた。
時間から察するに、診察に来た
らしい。
今日は薬を飲んでいなかったので、絶対小言を言われると思い、
さらに眠かったので十四郎は起きようとしなかった。
「…四郎」
の声がだんだんハッキリ聞こえてきた。
「十四郎…旦那様…」
(旦那様?)
夢現の状態で聞いていたので聞き違えたのだろうと思ったが
また『旦那様』という声が聞こえたので、十四郎はさすがに起き出した。
布団の隣には
がいつものように微笑んで座っていた…が、
服装がいつもと違う。----------普通の着物を着ているのだ。
「あ…お早う…
」
「もうお昼ですよ(笑)ところで、気分はどう?」
「あぁ、良好だ…」
「そう…。よかった」
「…ところで、
」
「なに?」
「今日、任務は休みなのか?」
十四郎が聞くのも無理はない。
は四番隊の特別医療班第零班。
しかも班長である彼女には休息日はほとんどないはず。
「休み?任務?」
「そうだ、珍しく普段着だからさ…」
「やあねえ、十四郎ったら…(笑)また私の死神時代の夢でも見たの?」
死神時代?
時代…って、現に死神ではないか!?
「
!いつ死神を辞めたんだ?」
「まだ寝ぼけてるの(笑)もう何年も前じゃないの」
「何年もって…何故!?」
「夫婦になったからでしょう!」
夫婦?
「俺達…結婚したのか?」
「そうじゃなければ十四郎のこと『旦那様』なんて呼ばないわよ(笑)」
じゃあ昼ご飯の支度をしてくるから…と言って
は出ていってしまった。
十四郎はというと、一体何が起こったのか見当も付かない。
自分の最愛の人と夫婦になったのは…この上ない幸せだと思う。
しかし、結婚をしたという実感が何も無い。式の記憶も無い。
そもそも俺は
に『俺と一緒に…』と言ったのだろうか?
その記憶さえも無かった。
しばらくすると
が手際よく食卓を整えた。
今日の昼は好物の『梅茶漬け』らしい。
「梅茶漬けかぁ!うまそうだな」
「『昼飯は梅茶漬けがいい』なんて言ってたけど、こう毎日食べて飽きないのね(笑)」
「俺、そんなこと言ったか?」
「言ったわよ。私も好きだからいいけど。」
これも記憶に無い。
わからないまま、十四郎は茶漬けをかっこんだ。
少々頭の中が混乱気味なので、気分転換に外へ出た。
瀞霊廷内を歩いていると、後ろから春水に声を掛けられる。
「よォ!浮竹ェ!」
「春水…」
「昼飯は済んだのかい?」
「あぁ…」
「いいねぇ〜。いっつも『
ちゃん』と一緒でさ〜」
ボクもそういう女性に巡り会いたいモンだ…と髭をさすりながら言った。
「ところで、春水。俺は…」
「なんだい?」
「いつ、
と結婚したんだ?」
「は?キミは何を寝ぼけたことを言ってるんだ?」
「……」
「そりゃあ、毎日毎日幸せの絶頂にいるから、寝ぼけるのも無理はないけどさ〜」
「……」
「浮竹?本当に覚えてないのかい?」
「…面目ない」
「……参ったねえ…」
そのまま2人は黙ったまま歩き続けた。
『少し疲れてんじゃないの?部屋に戻って休んだ方がいい』と春水に言われ、
十四郎は雨乾堂へと戻った。
雨乾堂には
の姿はなく、布団が綺麗に整えてある。
枕元には今日の薬が置いてあった。
「薬かぁ…」
一言呟くも、薬には手を付けずにそのまま布団へ入った。
そして春水に言われたとおり少し眠ることにした。
「……郎」
しばらくすると、
の声がした。
枕元にある薬を飲んでいないから、声を掛けているのだろうと思い
そのまま目を開けずにいた。
「…四郎」
彼女の声がだんだんハッキリ聞こえてくる。
「十四郎…もうお昼よ…」
(もう…お昼?)
さっきも昼だと言われて起こされたのに、今も昼とは!?
十四郎は目をあけた。
そこには、いつも通りの…死覇装を着た
が座っている。
「
…?」
「もうお昼よ(笑)ところで、気分はどう?」
「あぁ、良好だ…」
「そう…。よかった」
あ…れ…?この会話…?
「…ところで、
」
「なに?」
「今日は任務なのか?」
「なに言ってるの?いつも任務じゃない(笑)」
「死神…仕事してるのか?」
「なに寝ぼけてるの?(笑)」
寝ぼけてる……?
じゃあ、さっきのは夢で、今は現実……!?
十四郎は先程までの夢を思い出し、少し顔が紅くなった。
それを見た
は『やっぱり!』と言った顔をした。
「一体何と勘違いしたの?(笑)」
「えっ…」
「どんな夢を見てたの?」
「そ、それは…… … わ、忘れた!!」
お前と夫婦になった夢なんて言えるワケないじゃないか!
「忘れちゃったのかぁ〜」
「……」
「そういえば、お昼ご飯はまだよね?」
「そ、そうだな」
「十四郎のことだから、また『梅茶漬け』でしょ?飽きないわよね(笑)」
これも、さっきした会話だ……。
「私も、一緒に食べていいかしら?」
「え? あぁ! もちろん!!」
「…十四郎、どうしたの?さっきから変よ?」
「まだ寝ぼけてるのかもしれん…」
「ふふ…(笑) 食事をしたら、頭がハッキリしてくるから大丈夫よ」
に言われるがまま、十四郎はさっきと同じように茶漬けをかっこんだ。
先程も茶漬けを食べたはずなのに、今も食べている。
腹も、どちらかといえば空いていたので、やはり先程のは夢なのだと、十四郎は思った。
いつもの光景に
への想いがカタチとなって夢に現れたに違いない。
しかし…
(俺とアイツは、先々どうなるんだろう……?)
この「ある日の夢」が
いつか、「正夢」になろうとは…。
十四郎本人は、まだまだ気づかない--------------------------------。
END
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