「rough face」






















「こんにちは!」









が遅い昼食を手に雨乾堂へやってきた。
最近具合が良さそうだから、診察ついでに昼飯を一緒に食べようと約束していたのだ。












































「明日はね、午後から休みになったのよ。だから診察ついでに遅いお昼ゴハンなんてどう?」









四番隊の中でも特別救護班である『第零班』はいつも忙しい。
休みもなかなか取れないようで、今回のように午後から休みが取れることは、
班長の にとって珍しいことだった。
そんな貴重な休みを、俺とメシを食ってくれるとは……。 少々自惚れてしまう。










「何処かへ食べに行くか?」
「私が作って雨乾堂に持って行くよ」
が?」
「うん。だから楽しみにしててv」









の料理は本当に旨いのだ。
それに彼女の手料理なんて何年ぶりなのだろう。












































…というわけで、 が今、雨乾堂へやってきている。









「少し遅くなっちゃったけど、食べましょう」
「ああ、食べよう」









は風呂敷に包んだ三段の重箱を開けた。
一段目・二段目は色とりどりの料理が美しく盛りつけてあった。
三段目には炊き込みご飯が詰めてある。









「相変わらず料理の腕はスゴイものだな」
「そんなことないよ。さ、食べまショ」









そういって、取り皿に料理を盛ってくれた。























































「最近、調子良さそうだけど、無理してない?」
「大丈夫だよ」
「急に熱が出たりとかしてないの?」









俺は少しドキッとした。









実は夕べ、高熱を出した。
しかし朝には熱は引いて、今は具合もたいして悪くはない。
子供の熱のように、夜いきなり高熱が出たかと思えば
朝には引いている…というようなことは度々あり、まさに昨晩はその状況。
はそのことを聞いてきたのだ。









「ああ、大丈夫」









十四郎は、度々あることだし、
それよりも が心配するのをことのほか嫌った。
だから、あえて昨晩の事を言う必要はないと判断した。


































しかし、









「大丈夫…?」









は十四郎の言う『大丈夫』の言葉がひっかかる。
何事もなくて『大丈夫』なのか、具合が悪かったが今は『大丈夫』なのか。
考えすぎかもしれないが、それだけ十四郎のことが心配だった。
そして料理を取ろうとする十四郎の顔を何となく見たとき、
































「!」


































驚いた の顔がそこにはあった。
十四郎はその顔に少し驚いたものの、 が何も言わないので、
そのまま食事を進めた。









急に食事中の会話がなくなった。










































































食事も終わり、 は片づけをはじめる。









、ご馳走様。旨かったよ」
「…お茶と薬の用意をしてくるわ」









はそう言うと雨乾堂から出ていってしまった。









雨乾堂には、考え込む十四郎が一人。









「どうしたんだ… のヤツ…」









の態度が気になって仕方がない。
さきほどの驚いた顔と関係があるのだろうか?と
色々考えてみるものの、思い当たらない。









そうこうしているうちに、 が二人分のお茶と
薬の準備をして戻ってきた。









!」
「今は…熱はどう?」









は十四郎の額に手を当てる。
調子の悪くないときに、額に手を当てるなんてことはないのに…と十四郎は思ったが、
黙ってされるがままにしていた。









「ん、今はないのかな…?」




































一言そう言うと、額に当てた手を…そのまま下げ、
もう一方の手を添え…両手で十四郎の頬を包んだ。









?」



































「十四郎…昨晩熱出したデショ」



































ギクリ



































隠していたつもりが完全にバレている!!
もともと隠し事の出来ない性分ゆえ、顔に出ているのだろうか。









「な、なんでわかったんだ?」
「…やっぱり…」
「…で、でも今朝には下がっていて、今は平気なんだ!」









は両手で十四郎の頬をさすりはじめた。









「これ!」
「え?何だ?」
「肌が荒れてる」









肌が荒れてる?
それがどうしたと言わんばかりの顔をする十四郎。









「熱を出すとね、顔が熱くなるでしょ」
「そうだな」
「そうすると、顔の水分が蒸発して、肌がカサカサになるのよ」








ほら!と は両方の親指で十四郎の頬をなでた。









「まだ身体の芯には熱があるんじゃないのかしら…」
「大丈夫さ」
「大丈夫じゃないわよ〜。顔だってまだ紅いじゃない」












































あぁ…それは、お前が俺の頬をさすってくれているからだよ…












































の手、冷たくて気持ちいいな…」



















今度は十四郎が の頬を両手で包んだ。



















「俺の手、熱いか?」
「ん、そうだね。やっぱりまだ熱っぽいかな」
の頬は手と一緒で冷たいな…」
「十四郎の手は温かくて気持ちがいいよ…(苦笑)」



















お互いの顔に手をやりながらフフッと笑う。



















「本当に無理しないでよ?」
「ああ、わかってる」
「わかってるなら、薬を飲んで少し横になって」
「…なあ、
「ん?」
「よかったら、お前も此処で少し休んでいかないか?」
「え?」
「1〜2時間、休んだらお茶を飲もう」



















何を言うかと思えば、この患者は…。



















まったく!と思いながら、 は時計を見る。



















「しょうがないわね。1〜2時間もすれば薬も効いて、もっと落ち着く頃かな…。
 十三番隊の隊長さんは救護班の言うことを聞かないで無理ばかりするから…。」
「悪いな…」
「いいえ。それより早く横になって。ここに居るから」



















そう言って薬を十四郎に渡した。




































薬を飲み終えた十四郎は、布団を頭の先までかぶり、布団の中で自分の頬をさわった。
そして嬉しそうに微笑むと、そのまま目をとじた。
































 END


























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