「smiling face」





















十四郎ほど笑顔の似合う人はいないと思う。









学院時代からの腐れ縁で、何千回、何万回彼の笑顔を見たのだろう。
それは楽しかったとき、嬉しかったとき、励ますとき、諭すとき。









どんなときでも彼は笑顔を絶やさない。
さすがに虚を目の前にして笑顔でいることはないけど(笑)

















































今日も彼の診察のために、雨乾堂へ足を運んだ。



















「やあ… …」
「十四郎!具合が悪くなったの!?」









雨乾堂に入ると、そこには顔を真っ赤にした十四郎が
少し苦しそうに横になっていた。









「十四郎、いつから…」
「今日の昼過ぎ頃か…」
「今何時だと思ってるの?何故四番隊に知らせてくれなかったの!?」









私がここに来たときは、もう陽は暮れていて
彼が熱を出してからだいぶ経つことがわかる。









「アナタが熱を出した時は、必ず知らせてっていつも言っているのに…」
「夜に が来ると思ってな…つい…」
「仙太郎くんや清音ちゃんにも迷惑がかかるのよ!?」










「申し訳御座いません。お伝えしようとしたのですが…」
「隊長に止められまして…」









後ろで控えている仙太郎と清音が
申し訳なさそうに答えた。









「これからは、命令違反でも構わないから。必ず知らせてくださいね」
「おいおい、それじゃあ命令の意味がないだろう…」
「そんないい加減な命令に従うことはないです!第一、もっと具合が悪くなったらどうするの?」









十四郎と のやりとりにオロオロする仙太郎と清音に気づき、









「あぁ、二人ともすまなかったな…。もう下がっていいぞ」
「「はっ、失礼いたします!」」









と、二人を下げた。



















「ったく!他に具合の悪いところはないの?」
「大丈夫だよ。少し熱が出たぐらいさ」
「大丈夫なんかじゃないわ」









は右手に霊力を溜め、彼の額にあてた。
すると僅かながら、熱が引いてくるのが十四郎本人にもわかった。









「完全に熱を下げることはできないけど、さっきよりはマシになったはずだから」
「あぁ、楽になってきた…すまないな」
「………」
?」









何も話さず、かなり心配そうな顔の を見て
十四郎はニコリと笑った。





























「大丈夫だから、そんな顔をするな」





























あぁ…この顔だ。
この笑顔は、相手を気遣う笑顔なんだ…。
十四郎の笑顔の中で私が一番キライな笑顔。
苦しいはずなのに、辛いはずなのに…どうしてアナタはそんな顔をするの?



















そう思ったら涙が出てきて…
病人の前でポロッとひとしずく…。



















「っ! !?」
「えっ?あ…ゴメンナサイ…ちょっと目にゴミが入ったみたい…」



















目には涙を溜めているのに笑顔を作る
俺はそんな悲しそうな笑顔は見たくないんだがな…。



















どうしたら、オマエを泣かさずに済むことができるのだろう…。
こんな時の俺の顔はきっと を悲しませる要素が沢山あるんだろうな。



















辛そうな顔をしても…
無表情でも… もちろん笑顔でも…
結局はオマエを泣かせてしまうんだろうな。



















気が付いたら、俺は の涙を指で拭っていて。
そうしたら の目からは余計涙が出てきてしまった。



















〜、泣くな〜」
「……」
「いくつになっても、泣き虫だな」
「ウルサイ…」
のお陰で、本当に楽になったんだよ」



















十四郎が笑った。
それは、 を気遣う笑顔でもあったが、
身体が少し楽になった笑顔…
に感謝の笑顔…




















「だから、泣き止め」
「…うん」
「これからはちゃんと言うから…な?」
「必ずよ…!」
「ああ、必ずだ!」



















やっと、 が笑った。
はやっぱり笑顔が一番似合うな…。



















涙を拭っていた指から、彼の熱を感じる。
は薬の準備をすると、十四郎の身体を少し起こした。



















「解熱剤、あるから飲んで」
「わかった」
「明朝、ココへ来るから、今日はちゃんと眠ってね」
「ああ」



















少しでも多く身体を休めて欲しいと思い、
早々と雨乾堂を退出しようとした。
そして『じゃあ…』と が出ようとしたとき、



















!」
「ん?」
「……ありがとな」




















笑顔の十四郎に礼を言われ、 も嬉しくなった。



















ああやっぱり、十四郎は笑顔が似合う…。
そう思ったら の顔も自然と笑顔になる。



















ああやっぱり、 は笑顔が一番だ。
十四郎の目がさらに細くなった。































 END


























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