「the hand ties」





















「おーい! ー!」









聞き覚えのある声に振り向く。









「あれ?十四郎。こんな時間に外にいるなんて珍しいね。」
「今日は調子が良かったんでな、少し残業して書類を済ませたんだ。」
「…調子がいいからってあまりムリしちゃダメだよ?」









思っていた通りの言葉が返ってきたので少し苦笑する。









「わかってるよ…救護班殿。」
「ふざけて言っているんじゃないのよ〜!」
「あはは…」
「もう…(苦笑)」










調子が良いことは嬉しいことなのだが、決まって十四郎はムリをするので、
は心配で仕方がなかった。









「…まあ、そんな顔するなよ…。それより、 がこんな時間、ここにいるということは…」
「『雨乾堂』へ行く途中。」
「そうか、じゃあ一緒に行こう。」









ほぼ毎日、俺の容態をチェックするために は四番隊より雨乾堂へ来てくれている。
普段は雨乾堂で を待っていることが多いのだが、今日は仕事で遅くなったせいで、
帰る途中、 に出くわしてしまったようだ。








































「さすがに寒くなってきたな…」









季節は晩秋で、夜になればかなりの冷え込みである。









「そうだね…。」
「寒くないのか?そんな格好のままで。」
「えっ?」








死覇装というのは、夏暑くて冬寒そうに見える。
死神によっては個性を演出するために、袖無しにしたり別の服とあわせたりもしているのだが、
は…死覇装のみを着ているようにしか見えない。









「寒くないよ。これでも中に少し着こんでるからね。それより十四郎は寒くないの?」
「俺か?俺も中に着てるから----------」









大丈夫-----------と言おうとした時、





























「…ックション!」





























大きなくしゃみを一つ。





























「十四郎!」
「やっぱり少し寒いか。」
「ったくー!風邪ひいたんじゃないの?」









そう言って は十四郎の額に手をあてた。









「うわっ!」
「えっ?」









十四郎が一声叫んで の手を掴んだ。









!お前の手!!」
「手が…何?」
「この冷たさはなんだ!」
「えっ?……冷たさって…。」









自分の指先が赤くなっているのをまじまじとみて
『あっ、そうか!』という顔をする。









「ごめん。こんな手を額につけたら、冷たいよね。」
「そうじゃない! が寒くないのかと聞いているんだ。」









の手は氷のように冷たく、指先は真っ赤だった。
その指先を十四郎は両手で暖めるようにギュッっと握る。









「手袋でもすればいいものを…。」
「手袋しちゃうと仕事がしづらいのよね。」
「だからって…」
「ん〜、慣れちゃったのかな(笑)」







































ったく…しょうがないな…。







































十四郎は の左手を掴み直して自分の手と一緒に羽織の中へ引き込んだ。









「こうすれば少しは暖かいだろ?」
「……うん。」
「片手ずつしか出来ないがな。」
「十四郎…寒かったんじゃないの?」
「ん?あぁ…大丈夫。」
「でも…」
の手がこれで暖まれば、俺も暖かくなるから…。」









そう言って羽織の中の手を強く握りしめた。





























「十四郎の手…、暖かいね…」
「このまま手を繋いで帰ろう…。そうすれば雨乾堂に着く頃にはだいぶ暖まる。」
「ん…ありがと。」


も十四郎の手を強く握り返した。







































雨乾堂までの道のりをあまり喋らずにただ手を繋いで歩いた。








































でも二人の温度がいつまでも会話をしていた。































 END


























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