「voice」
最近の
はおかしい…と思う。
四番隊から治療のために、雨乾堂へ来てくれるのは…いつもと変わらない。
治療中、笑顔で俺に話しかけてくれるのも…いつもと変わらない。
だが一つだけ。
俺が話しかけると、
は下を向いたり、全く関係ない方向へ顔を向けたり…
とにかく顔を合わせてくれないのだ。
これではまるで嫌われているような…
嫌われている……?
そうなのか?俺は嫌われているのか??
しかし…一体…。俺は
に何かしたのだろうか?
そう思ったら、たまらなく不安になってきて…。
今日、
が来たら聞いてみよう。
とにかく理由をはっきりさせたくて、
が来るのを今かと待っていた。
「十四郎、遅くなってごめん!」
「あ、あぁ…。」
あれ?十四郎…? 何かヘン??
十四郎はというと…、平静を装っているものの、会話がぎこちない。
とりあえず無理して笑顔で
に話しかけた。
「
は毎日忙しそうだな(ニコッ)」
「えっ!?あ…そんなことないよ…。」
やはり十四郎の眼を見ない。
これ以上我慢できなくなったのか、笑顔を消して
を呼ぶ。
「
…。こっちを向いてくれないか?」
「…十四郎…?」
そこには真剣な顔をした十四郎。
声から察したのか、
は下を向きつつも十四郎の方へ顔を向けた。
「最近、俺のこと…避けてないか?」
「えぇっ!?なんで私が十四郎を避けるの?」
「俺が話すと…顔を背けるじゃないか。」
「それは…」
「それは?」
「避けているんじゃなくて…その…。」
「避けているのではないんだな?」
俺は嫌われているワケではないらしい…。
「ヨカッタ…。」
「えっ?」
顔を上げると、笑顔の十四郎の眼と合ってしまった。
は顔を真っ赤にしてまた下を向いてしまう。
避けていないと言いつつ、やはり顔を背ける
に対し、やはり不安は隠せない。
「やっぱり避けているのか?」
「ちっ、違うの!」
「じゃあ、理由を話してくれるか?」
一週間前、四番隊で自分の部下たちが、十四郎の話をしていた。
どうやら、十四郎は女子連中に人気が結構あるらしい。それは頼れる隊長とかそういう意味ではなく…恋愛対象。
「班長はうらやましいですよ〜。」
「? 何がうらやましいの?」
「あの『浮竹隊長』のお世話をしているんですから。」
「それに浮竹隊長の親友なんですよね〜。」
「浮竹隊長はそんなに人気があるの?」
「「「ありますよ〜!!」」」
ふ〜ん、そうなんだ…。どの辺が人気あるんだろう……?
は思った。
「どの辺がイイわけ?」
「そうですね〜。私はあの笑顔ですかね?」
「私は、声ですっ!!」
「私は優しいところです〜。」
部下の意見を聞いて、
はあらためて思った。
たしかに自分も十四郎や春水が好きだ。昔からの大親友であり仲も当然良い。
でもそれは内面部分が好きであって、あえて外面を意識したことはなかった。
「ちなみに…『京楽隊長』はどうなの?」
「エロ〜い!」
「髭キライです〜。」
「ちょっと…。」
あらら……。
十四郎が優しいのは私も思ってはいる所だけど…。
「笑顔」と「声」かあ…。
では私も皆が言うように、いかに『浮竹隊長』が素敵かを観察しよう!
「---------ということで、俺を観察することになったワケだ。」
「うん…。」
「…で、結果はどうだったんだ?」
は小さな声でボソボソ何かを言っている。
「ん?
、聞こえないぞ。」
「素敵だった。」
「なにが素敵だったって?」
は深呼吸をしたあと、十四郎の顔を真っ直ぐ見つめ、
「『笑顔』も『声』も素敵だった!!」
「そうか。」
「そしたら…なんか気になっちゃって…そんな笑顔で話しかけられちゃうと…恥ずかしくて…まともに見られなくて…。」
また下を向いてしまった
。
しばらくの沈黙の後、十四郎が大笑いした。
「俺と何年付き合ってるんだよ。」
「だって、あらためて十四郎の外見なんて見たことなかったし…」
「昔から何も変わらんよ…。声も顔も…。」
「何も?」
「そう、俺達が出会った学院時代から何も…。歳は取ったけどな。」
「それを言うなら私も歳をとったよ〜。」
「そうか?昔より綺麗になったと思うけどな?」
「わー!そういうこと言わないでよ!恥ずかしい…。」
「あはははは…。」
そうなんだ…。結局は昔から十四郎は何も変わっていない。
「でもね、十四郎は今も昔も何も変わっていないって言うけど…」
「けど?」
「中身は昔以上に素敵になったと私は思うよ。」
の言葉に俺はかなり動揺した…というか嬉しかった。
顔がどうとか声がどうとか言われるよりもずっと。
そんな俺も
の性格も仕草も…何もかもが大好きなんだが…。
「もちろん、声も笑顔も大好き!」
「俺も
の声も笑顔も大好きだよ。」
END
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