「wound(ukitake ver.)」
「まずい…」
は四番隊に所属しているが、上級救護班のさらに上、『特別救護班』に所属している。
その特別救護班は主に上層部・上位席官の治療を主としているが、前線にも向かう。
そのため四番隊隊員ではあるが剣もそこそこ強い。
戦いながら治療も施すというかなり無敵な救護班、『第零班』の班長を務めている。
その
が雨乾堂の少し手前で立ち止まっている。
四番隊の任務として『十三番隊隊長の治療』を毎日行っているのだが、今日は足が進まない。
「あの心配性の十四郎のことだ。見つかったら何を言われるか…」
と十四郎は学院時代の同期生であり、親友。
おまけに十四郎は
をまるで妹のように世話を焼く。
それが
にとって嬉しい反面、ちょっと迷惑だったりする。
「いい加減、親友らしく一人前として見て欲しいもんだけど…」
もちろん、十四郎は『妹』としてなんか見てはいない。
一人の女性として、大切に思っているが故の行動なのだが、
が鈍感なのか、十四郎が今一歩、前進しないせいなのか
いつまでたってもこの関係のままでいる。
「まあ、バレた時はその時だ!とにかく行きますか!」
そう言って雨乾堂へ向かった。
「
!今日は来るの遅めだな。何かあったのか?」
あ〜、はじまったよ…十四郎の心配性が!
「うん、ちょっと任務でね、色々書類とかも書いてたから…遅くなってゴメン。」
「そうか」
「で、今日の調子はどう?」
なんか、調子がいいどころか、機嫌も良さそうなんだよねえ…
「今日はすこぶる良いぞ!」
あはは…、やっぱり。
「薬は…ちゃんと飲んでる?」
「ああ、もちろんだ(即答)」
「そう、じゃあ今日は診察しないでも大丈夫そうだね。顔色もいいし。」
十四郎の眉間にシワが1本寄る。
かすかだが…血の臭いがする。消毒薬の臭いは四番隊だから仕方がないことだが…。
「じゃあ、私、詰所で書類の続きをしなくてはいけないから帰るね。」
「ちょっと待て。」
ギクリ。
「何?」
「
…お前怪我をしてないか?」
「え?してないけど…。」
「本当なんだな?」
うわーん。あの眼にヨワイのよ〜。
「ちょっと傍へ来い。」
「…はい…」
「ここへ座れ。」
ぎゃー!座るの…?
は渋々と、そしてゆるゆると正座をした。
正座をし終わったと同時にほんの少し苦痛で顔色が変わったのを十四郎は見逃さなかった。
「…。どれ、見せて見ろ!」
「え、遠慮しておきマス(汗)」
「遠慮って…やっぱり怪我してるんじゃないか!」
「あ…(汗)」
「いいから!見せろ!」
「わっ!」
十四郎は立ち上がって、
をひょいと持ち上げた。
そして袴を少しだけめくると、包帯でぐるぐる巻きにした左脚が見えた。
膝から下は血が滲んでいる。
「
!この怪我は!」
あちゃー!バレた!!
「え、あ、あのね…昨晩、緊急で現世に応援に行くことになって、そこで…。」
「そこで?何だ。」
「そこで…他の死神の子をかばってね…それで…。」
「四番隊へは…診てもらったのか?」
いや…私が四番隊だし…。
「四番隊で、薬を自分でつけて治療したから大丈夫。」
「自分で?」
「ただの擦り傷・打撲だから…って、うわあ!!」
十四郎は
を肩に担いで雨乾堂を出ていこうとした。
「ちょっ、ちょっと!十四郎!待って!!!」
「だめだ!卯ノ花に診て貰う。」
う、卯ノ花隊長にですかー!
ヤ、ヤメテーーー!!
「ホントに大丈夫だから!ヤバかったらちゃんと診て貰うし、酷いときは自分の霊力を使ってるって!」
「……」
十四郎は
を担いだまま雨乾堂に戻り、自分の布団の上へゆっくり降ろした。
「ふう…」
「あのな…
。なぜ自分の怪我に術を施さないんだ?」
「それは…」
四番隊として、自分の為に霊力を使うのはちょっとね。
いざというときにチカラが足りなくなったら大変だし。
「
、それはおかしいと思うんだが。」
「え?」
「救護隊が、先に動けなくなったら意味がないのではないか?」
「…」
「どんな些細な怪我だって、相手は虚なんだ。どんな事になるかわからない。
そんな簡単にお前は任務を進めているのか?」
「そ、そんな事は!」
十四郎の顔を見たら…すごい心配してるような、悲しい顔つきになっていて。
「…今のは俺の『いいわけ』だな…。」
「十四郎?」
「本当は、お前に怪我なんてして欲しくないんだがな…。」
「……」
「
の責任感がいつ恐ろしい事になるかと思うとさ…。
俺も気がきじゃなくてね…。もうとっくに一人前なのにな…。」
十四郎…。
私のことちゃんと「一人前」として見てくれてたのね…。
そう思ったら、なんか嬉しくて嬉しくて
涙がでてきた。
「
!?どうした?痛いのか?」
「ううん、違う…」
十四郎は、私が怪我で痛くて泣いていると思ってるみたいだけど、
怪我なんて、そんなに痛くなくて…。
「ごめん…」
「あぁ。」
そして
「ありがとう…」
と言った。
十四郎は相変わらず、心配そうな顔をしていたけど、
私が笑ったら、彼も嬉しそうに笑った。
END
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